普通コンクリートの「普通」とは?配合や規格、意味について

種類

コンクリートには、材料や性能または用途によって様々な種類のコンクリートがあります。

普通コンクリートとは、その中でもっとも「普通=一般的」なコンクリートです。

普通コンクリートは「一般構造用コンクリート」として、特別な性能や用途を必要としない、一般的な建築構造物や土木工事に使用されます。

ですが、コンクリートの種類は、基準とする規格によって考え方や規定に違いがあるため、注意が必要です。

この記事では、普通コンクリートについて、意味や内容、規格・規定値などを解説します。

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普通コンクリートの「普通」とは?

普通コンクリートのなにが「普通」なのかを簡単に説明すると、

「強度・環境・単位容積質量」

です。

「普通の強度」のコンクリートを「普通の環境」で施工し「普通の重さ」の構造物を作る場合に使用する標準的なコンクリートを、普通コンクリートといいます。

その逆で「普通でないコンクリート」には、次のようなコンクリートがあります。

  • 高層マンションに使うコンクリート(高い強度)
  • 真夏に施工するコンクリート(特殊な環境)
  • 自重を軽くするためのコンクリート(重さ)
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普通コンクリートの規格は?

コンクリートの基準・規格には3つの基準があります

  1. JIS 日本産業規格
  2. JASS5 建築工事標準仕様書(建築工事)
  3. コンクリート標準示方書(土木工事)

1.は現場で使用されるコンクリート自体(いわゆる生コン)の規格。

2.及び3.はそれぞれ、ビルなどを建てる建築工事の規格と橋などを作る土木工事の規格です。

材料(生コン)の規格がJIS、工事の規格がJASS5と示方書

たくさんのコンクリートが、「材料の規格」と「工事の規格」の両方に規定があるため、よく頭を整理して理解しなければなりません。

JISの普通コンクリートの規定

JISでは、4種類のコンクリートを規定しています。

  • 普通コンクリート
  • 軽量コンクリート(軽量骨材を使用)
  • 舗装コンクリート(曲げ強度で管理)
  • 高強度コンクリート(強度が高い)

基本的にコンクリート自体の種類は、この4種類になります。

これ以外に建築工事で使用されるコンクリートが1つだけあります。

大臣認定コンクリート、通称MCON(エムコン)と呼ばれるコンクリートです。

ほかにも、暑中コンクリート・マスコンクリート・水中コンクリート・流動化コンクリートなど様々な種類がありますが、

正確にはコンクリートの種類ではなく、環境や条件によって施工時の取扱いを規定した、工事の規格です。

JIS(生コン)の規格では「普通骨材を使用した、呼び強度18~45の範囲内のコンクリート」を普通コンクリートと呼び、

  • 粗骨材の最大寸法(20・25・40)
  • スランプ(5~21)又はスランプフロー(45~60)
  • 呼び強度(18~45)

を組合せて選びます。

コンクリートの配合については規定がなく、決められた品質を満足するよう製造者が設定します。

JASS 5と標準示方書の普通コンクリートの規定

JASS 5とコンクリート標準示方書の普通コンクリートの規定を表にまとめました。

 JASS 5標準示方書
設計基準強度36以下60未満
スランプ18cm以下 (Fc33以上の場合は21cm)
水セメント比65%以下65%以下
空気量4.5%4.5%
単位水量185 kg/㎥以下175 kg/㎥以下
単位セメント量270 kg/㎥以上270 kg/㎥以上(粗骨材最大寸法20・25)
250 kg/㎥以上(粗骨材最大寸法40)
コンクリート温度5~35℃5~35℃

JISとは違い、コンクリートの仕様について規定されています。

構造体の品質が一定程度保たれるよう、標準的な仕様としてあらかじめ規定されていて、上の表をもとに構造体に必要な性能や条件を加味して、コンクリートの発注を行うことになります。

普通コンクリートと特殊コンクリートの違いは?

普通コンクリートと特殊コンクリートの比較を表にまとめました。

価格性能供給施工・管理
普通コンクリート安い普通良い簡単
特殊コンクリート高い良い悪い難しい

表のまとめ方はいくぶん乱暴ですが、一般的にこのようなイメージを持っておけば良いのではないでしょうか。

普通コンクリートは、JISに適合した生コンが全国の3000余りのプラントから出荷されていて、安定的に供給が受けられます。

特殊コンクリートの場合、材料の入手や設備など、特殊コンクリートの出荷体制が整っていない場合もあり、地域によっては供給が困難な場合があります。

特殊コンクリートの需要は地域差が大きいのが現状です。

需要が旺盛な地域とそうでない地域では、供給や管理の面で格差があるのは仕方ないことかもしれません。

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