高流動コンクリートの自己充填性と配合、JSCE規格の試験方法

種類

高流動コンクリートとはスランプフローで管理するコンクリートの総称です。

建築学会・土木学会ではその中でも、締固め作業を必要としない、自ら型枠内に充填される=自己充填性を持つコンクリートのことを「高流動コンクリート」と呼んでいます。

高流動コンクリートの特徴を明確にあらわすために「自己充填コンクリート」と呼ぶ場合もあります。

似たコンクリートに「中流動コンクリート」「流動化コンクリート」がありますが、

  • 中流動コンクリート…締固め作業が必要なため自己充填性はありません
  • 流動化コンクリート…コンクリートの流動性を後から高めたコンクリート

この記事ではスランプフローで管理するコンクリートの中でも、自己充填性を有するコンクリートを高流動コンクリートと定義して説明していきます。

スランプフローとは、コンクリートの広がり具合を流動性の目安にすること。お好み焼きのような状態をイメージすると分かりやすいですよ

高流動コンクリートの利点と特徴とは

高流動コンクリートは、その優れた自己充填性により作業の省力化が可能であることや、PCa造やCFT造のような締固め作業自体が困難な箇所への充填が可能です。

また高い充填性によりジャンカなどの打込み時の不具合を防ぐため、躯体の高品質化を達成することができます。

自己充填性を確保するために、材料分離抵抗性以外にも間隙通過性に優れていることが特徴としてあります。

間隙通過性とは、鉄筋と鉄筋の隙間・型枠と鉄筋の隙間を通過し隅々まで充填する事が出来る性質

間隙通過性は、流動性が高いだけでなく適度な粘性があることが重要となり、粘性を評価する特性値として、スランプフロー時間・スランプフロー速度があります。

速度が速いほど流動性が高い事を示していますが、

早すぎる速度は粘性が低い=分離抵抗性が低い

ことを意味しています。

材料分離については確立された試験方法がないため、コンクリートの状態を目視にて確認することになっています。

高流動コンクリートの配合は大きく3パターンに分類できる

高流動コンクリートは流動性と分離抵抗性の両方を満足する配合設計を行いますが、分離抵抗性(粘性)を確保するのに、3パターンの手法があります。

配合設計の方法
  • 粉体系…セメントや混和材などの結合材で粘性を確保
  • 増粘剤(分離低減剤)系…は混和剤によって粘性を確保
  • 併用系…粉体系+増粘剤(分離低減剤)系の両方で粘性を確保

3パターンのうち、どれを採用するかは使用材料の特性や構造物の条件によって異なります。

  • 粉体系…骨材の粒形が悪い・微粒分量が少ない場合や高強度が必要な場合
  • 増粘剤系…水和熱などにより高強度が不利である場合や骨材の微粒分量が多い場合
  • 併用系…材料品質の変動が大きく、品質変動を抑えたい場合

間隙通過性については、粗骨材の粒形とかさ容積が影響することが知られています。

粒形が悪い場合やかさ容積が大きすぎる場合、流動性や分離抵抗性が高くても間隙通過性の悪い高流動コンクリートとなってしまうため、流動性だけで評価することには注意が必要です。

高流動コンクリートの配合の特徴

高流動コンクリートにおける配合の特徴を以下のリストにまとめてみました。

  • セメントは流動性を確保するため「中庸熱・低熱セメント」(高ビーライト系)
  • 単位水量は分離抵抗性を確保するため175kg/m3以下
  • 混和剤は流動性を確保するため高性能AE減水剤
  • かさ容積は間隙通過性を確保するため0.500~0.550 m3/m3程度
  • W/Cは分離抵抗性・間隙通過性を確保するため50%以下
  • スランプフローは55・60・65cmのいずれか

リストの内容が絶対ではありませんが、基本的にリストの条件に沿って配合設計を行います。

高流動コンクリートの製造・管理の注意点

高流動コンクリートの特徴や注意すべき点には以下のようなものがあります。

  • 粘性が高いため、練混ぜ時間を長くする
  • 高性能AE減水剤の添加量が多いため、表面水の変動に敏感になる
  • 高性能AE減水剤の添加量が多すぎると、凝結が遅れる場合がある
  • スランプフローの経時変化は、添加量と温度に依存しやすい
  • ブリーディングが少ないため、プラスティックひび割れが生じやすい
  • 側圧が液圧に近くなるため、型枠のはらみ・支保工の倒壊に注意する

高流動コンクリートの評価はL型フロー試験やV漏斗試験によって行なう

流動性の評価としてスランプフロー試験がありますが、高流動コンクリートの自己充填性を評価するにあたり、材料分離抵抗性(粘性)や間隙通過性はスランプフロー試験では評価が難しいものです。

高流動コンクリートの評価にはそれぞれに試験方法があります。

流動性スランプフロー試験
粘性V漏斗・O漏斗による流下試験、L型フロー試験
間隙通過性U型・ボックス型による充填試験

スランプフロー試験はJISに規定されていますが、その他の試験方法は、土木学会(JSCE)の規格で、建築学会においてもJSCE規格に準拠しています。


この記事では自己充填性を有する高流動コンクリートについて説明しました。

最新のJISでは、スランプフローで管理するコンクリートの種類も増え、今後の使用頻度の増加が予想されます。

スランプフロー管理 = 高流動コンクリートという解釈も間違いではありませんが、高流動コンクリートの特徴である自己充填性があるかどうかで大きく考え方が変わります。

スランプフロー試験に関する詳しい記事と、高流動コンクリートと間違えられやすい流動化コンクリートについての記事はこちらからどうぞ。

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