ワイヤーメッシュの敷き方や規格、使い方とは

施工

ワイヤーメッシュは網目状に組まれた鉄線のことで、主にコンクリートのひび割れを防止するために使われます。

コンクリートの補強材として、建築・土木構造物や道路舗装のひび割れ防止、コンクリート製品の補強として使用されています。

ワイヤーメッシュは、工場の品質管理のもと製造されるため、品質が安定していて配筋の精度が高く、コンクリート打設時の配筋の乱れが少ないことが特徴です。

また、現場で鉄筋の加工・組立てをする場合と比較して、工期の短縮・コストの低減を図れます。

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ワイヤーメッシュのJIS規格とは

ワイヤーメッシュは JIS G 3551「溶接金網及び鉄筋格子」にもとづいて製造されます。

JIS G 3551には、次の品質項目の規定があります。

線径、網目、質量、寸法精度、引張強さ、降伏点など

溶接金網及び鉄筋格子では、材料に違いがあり、ワイヤーメッシュは鉄線を使用し、バーメッシュは棒鋼を使用します。

  • ワイヤーメッシュ(溶接金網)
    • 鉄線を直交して配列し、その交点を溶接した網目状の金網
  • バーメッシュ(鉄筋格子)
    • 棒鋼を直交して配列し、その交点を溶接した網目状の鉄筋網

また用途にも違いがあり、バーメッシュは棒鋼を使用するため、部材の主筋として使用することができます。

  • ワイヤーメッシュ(溶接金網)
    • 主にひび割れ防止に使用
  • バーメッシュ(鉄筋格子)
    • 基礎やスラブなど構造部材の配筋に使用

溶接金網と鉄筋格子は、網目形状や寸法によって二種類に分けられます。

  1. レギュラー
    • 網目形状…定格の正方形
    • 線径…縦・横線とも定格の同一径又は公称直径
    • 寸法…幅1m×長さ2m又は幅2m×長さ4m
  2. デザイン
    • レギュラー以外の寸法のもの

ワイヤーメッシュ製品の種類

ワイヤーメッシュ製品には、様々な種類があるため、以下の項目から、用途や状況に応じて適切なものを選びます。

材質

材質には、鉄やステンレス、亜鉛メッキなどがあります。鉄は強度が高く安価ですが、錆びやすいのが欠点。ステンレスは錆びに強く耐久性が高いですが、鉄よりも高価です。

太さ

線径は、細径φ2.6~太径φ6.0の種類があります。線径が太いほど強度は高くなりますが、その分重量も増加します。

網目形状

網目の形状は正方形や長方形があり、網目寸法は50~200㎜まであります。網目が小さいほどコンクリートとの結合力が高くなりますが、施工性が低下します。

寸法

サイズは、1m×2mや2m×4mなどのシート状のものが一般的です。サイズが大きいほど、敷き込みの手間が少なく施工性が向上しますが、運搬や切断が困難になります

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ワイヤ―メッシュの役割は?

コンクリートはその性質上、硬化後の乾燥収縮などや日射や気温などの影響によって伸縮します。

その時コンクリートは、周囲の部材や鉄筋に拘束されるため、コンクリートに引張応力が発生します。

コンクリートの引張り強度は「圧縮強度の1/10~1/12」と小さいため、引張応力がコンクリートの引張り強度を上回ると、コンクリートにひび割れが発生します。

コンクリートメッシュを使うことで、拘束応力を分散し小さく抑えることができるため、コンクリートに発生するひび割れを抑制することができます。

ワイヤーメッシュの重ね継手のポイントとは

ワイヤーメッシュを設置する時の重ね継手については、日本建築学会「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説」に規定があります。

  • 応力を伝達する溶接金網の継ぎ手は、外縁の横線間隔距離を1目+50mmかつ150mm以上とする。
  • ひび割れ防止用など、構造耐力を要しない場合の継ぎ手は、最外縁の横線間隔を1目かつ100mm以上とする。

ワイヤーメッシュの敷き方のポイントとは

コンクリートメッシュを設置する際には、 適切な太さのメッシュを適切な位置に配置することが重要です。

コンクリートの厚みにあった適切な太さのコンクリートメッシュを使用し、コンクリートの中央部分に来るようにスペーサーブロックなどを使って高さを調整しなければなりません。

ワイヤーメッシュのサイズ

施工面積よりも小さいサイズのものを用意し、重ね継手の規定に沿って敷き込み、重ねた部分を結束します。

ワイヤーメッシュの置き方

土間コンクリートの厚みを考慮し、ワイヤーメッシュがコンクリートの厚さ方向の中心になるように、高さを調整します。

高さの調節には、スペーサーブロックなどを使いワイヤーメッシュを支えるように配置します。

ワイヤーメッシュの主な使用箇所

ワイヤーメッシュの役割は、主にコンクリートのひび割れを防止するために、土間コンクリート、防水押えコンクリート、シンダーコンクリートなどで使用されます。

一方、スラブや壁などで応力を伝達する鉄筋としても使用する事が可能なため、両者の違いについて理解する必要があります。

土間コンクリートと床スラブの違い

スラブコンクリートは、「平面」という意味を持ち、床スラブ、屋根スラブといった使い方をします。一方、土間コンクリートも平面な床状のコンクリートを指します。

土間コンクリートと床スラブは一見するとコンクリートで出来た平らな床ですが、このふたつは、支持方法や用途、配筋などに違いがあり、まったく別の部材を指しています。

土間コンクリートとは

土間コンクリートは応力を負担せずに、地盤に直接荷重を伝える床です。

地盤に支えられているため、構造上は耐力を必要とせず、コンクリートも鉄筋も特に強度を必要としません。

そのため地盤の影響を受けやすく、地盤が弱かったり沈下したりすると支えを失うため、土間コンクリートも傾いたりひび割れを起こす可能性があります。

床スラブとは

床スラブは柱や梁で支えられ、自身で応力を負担する床です。

スラブは地盤の上にあっても、その支えを期待せず、スラブに発生する応力に対して必要な耐力の計算を行います。

そのため、地盤の影響を受けづらく、地盤の沈下などでもひび割れを起こす可能性が少ないです。

1階床が土間コンクリートなのかスラブで、構造的に全く意味が違うため注意が必要となります。

デッキスラブについて

デッキスラブとは、デッキプレートとコンクリートを組み合わせた合成スラブです。

デッキスラブは耐力を負担する構造ですが、主筋を必要とせずに、ひび割れ防止のためのワイヤーメッシュのみを配筋します。

その理由は、コンクリートとデッキプレートが一体となり引張り鉄筋の働きをするためです。

デッキスラブでは、耐力上、主筋は必要でなく鉄筋が入っていません。鉄筋が入らないとひび割れが発生しやすくなるため、ひび割れ防止のワイヤーメッシュを使用します。

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