コンクリートの養生方法とは 期間や温度・湿度が大切

施工

コンクリート打設 (打込み→締固め→上面仕上げ) 後から脱型までの期間を「養生期間」と言います。

養生とはコンクリートの硬化が進み、健康で丈夫なコンクリートになるよう育てる事、また育つまでの間、外力から守る事を言います。

養生の基本は「潤いを保つ・適温を保つ・衝撃から守る・有害物質から守る」の4項目を考える事です。

この記事ではコンクリート構造物の養生について、目的、必要な期間、やり方、養生の規定などについて説明していきます。

養生はコンクリート打設の後工程になりますが、打設計画と一体で管理されるものです。

打設計画書について詳しい説明は以下の記事をご覧ください。

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養生するからコンクリートが強くなる

コンクリート構造物には「力に抵抗する強度」「外的要因に抵抗する耐力」の二つの強さが必要ですが、適切な養生をしないとコンクリートはその強さを発揮しません。

コンクリートはどんな条件でも同じ強さになるというモノではなく、養生条件によって最終的な強度に差が出てくるという性質を持っています。

コンクリートの強度発現には温度と水分の影響が大きく、特に初期養生の優劣が後の強度に大きく影響します。

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コンクリートは適度な潤いと心地よい温度で育つ

コンクリートの養生は、目的別にいくつか方法があります。養生方法について、目的ごとにまとめて見ましょう。

水分コントロール

水分を保つ方法には「水分を供給する方法」と「水の蒸発を防ぐ方法」の二通りのやり方があります。

  • 水分の供給…散水・湿布・養生マット
  • 水の蒸発を防ぐ…膜養生剤・シート被膜・せき板

養生マットとは吸水性能のあるマットで、コンクリート表面を覆うことにより、一定期間水分を与えるモノ。

膜養生剤とは液体の薬品で、コンクリート表面に散布して使います。散布した薬品が膜状になり、コンクリートの水分を逃がさなくするモノ。

温度コントロール

コンクリートにとって寒すぎても暑すぎても快適な状態とは言えません。気象環境に応じて、冷却・給熱・保温をし、温度をコントロールしていきます。

  • 冷却…散水・パイプクーリング
  • 給熱…ジェットヒーター・電熱マット
  • 保温…断熱材・せき板

パイプクーリングとは、パイプ内に冷却水を流すことでコンクリートの温度を下げる方法。

有害物質のシャットアウト

酸や塩分、直射日光など硬化初期のコンクリートに悪影響を及ぼす要因から守るため、防護シート・せき板でコンクリートを保護します。

コンクリートの養生期間は長いほど効果がある

コンクリートの養生期間は長いほど後々のコンクリート強度にプラスに作用します。

本来なら長く養生を続ければ良いのですが、次の工程(墨出し・配筋・型枠組立)へ進むには、どこかで養生を終えなければなりません。

養生の打ち切り(終了)には次のようなルールがあります。

   
セメントの種類短期及び標準長期及び超長期
早強ポルトランドセメント3日以上5日以上
普通ポルトランドセメント5日以上7日以上
中庸熱・低熱ポルトランドセメント
(高炉・フライアッシュ)セメントB種
7日以上10日以上

また、打込み後5日間はコンクリートの温度を2℃以上に保ち、初期凍害や低温における強度発現の遅れを防止しなければなりません。

養生不足は耐久性に対しても影響が出る

材齢初期の段階でコンクリートの乾燥が進むと、セメントの水和が止まります。

コンクリートの乾燥は一般にコンクリート表面から進行するため、表層部分のセメントが未水和となりやすく、水密性・透気性に影響が出ます。

表層部分で水や炭酸ガス、化学物質が浸透しやすくなるため、耐久性が弱いコンクリートとなります。この傾向は、養生期間が短いほど・水和の遅いセメントほど強くなります。

初期養生中の強度発現が未熟な状態で強い外力や振動が加わると、コンクリートに変形やたわみが生じ、ひび割れの要因となります。

まとめ

コンクリートは適切な養生を行なうことで、ポテンシャルを発揮するもの。

養生の基本は、潤い・適温を保ち、外力や有害物質から保護する事。

養生作業は、次の工程を考慮して適切な時期に打ち切ることが大事です。

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