コンクリートの打ち込み・打ち重ね・打ち継ぎの違いって?

施工

コンクリートの打ち込みとは、所定の場所(一般的に型枠内)にコンクリートを流し込む事を言います。正式には、打ち込みではなく「打込み」という用語ですが、実務では打設という方が一般的で伝わりやすいです。

打設とは、厳密には「運搬→打込み→締固め→仕上げ」という工程全体を表す用語なのですが、打込み=打設と理解してもらっても差支えないかと思います。

似たような言葉に「打重ね」・「打継ぎ」という用語がありますが、「打込み」・「打重ね」・「打継ぎ」はそれぞれ別の用語で意味は違います。

この記事では、コンクリート打設の「打込み」について意味や、基準・注意点、「打重ね」・「打継ぎ」との違いについて説明します。

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コンクリート打設の打込みって?

打込みは「工場から運ばれた生コンを打込み地点まで運搬し型枠内に流す」という文章の「型枠内に流す」の部分を指す用語です。

「打込み地点まで運搬し」の運搬とは、運ばれてきた生コンをバケットやポンプ車や斜めシュートなどで、型枠内までコンクリートを移動させる事を言います。

運搬については別の記事で説明させていただくとして、打込みとは運搬したコンクリートを型枠内に流す作業をいい、流した後の締固め作業とは区別されます。締固め作業については、こちらの記事で詳しく説明しています。

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打込みの注意点・基準とは?

打込みで一番重要なことは、生コンの材料分離を避けるようにすることです。材料分離を避けるために、いくつかの基準・注意点があります。

コンクリートの打込みの基本

材料分離を抑えるには、「落下高さを低く」・「落下角度を鉛直に」・「落下速度はゆるく」・「流動距離は短く」することが基本です。

型枠に衝突させない、打込み口を増やし横流しを減らす、奥側から手前へ、下から上へと打込むようにします。

打込みのリフト高さとブリーディング

一層の打込み高さは40~50cm以下とするのが良い。

バイブレーターが届く厚さであること・打込み高さが高すぎるとブリーディングが増えるため、一層の高さに制限があります。

打込みの自由落下高さと分離

自由落下高さは1.5m以下とし、なるべく小さい方が良い。

コンクリートは密度の違う粒同士が混ざったものです。そのため落下高さが大きくなるほど、分離が大きくなります。特に柱などは、型枠や鉄筋にぶつかる事で分離しやすくなるため、型枠内部にホースを差し込んで打つこととされています。

打込み速度と側圧

打込み速度は、30分で1~1.5m程度とする。

打込み速度が速すぎると側圧(型枠にかかる圧力)が大きくなり、型枠の変形の原因となります。また、沈下ひび割れを助長させます。

打重ね時間間隔とコールドジョイント

打重ね時間間隔とは、生コンを二層以上に分けて打込む時、下の層の打ち終わりから上の層を打ち始めるまでの間隔を、時間で表したものです。

外気温 打重ね時間間隔
外気温25℃未満 150分以内
外気温25℃以上 120分以内

生コンをいくつかの層に分けて打込んだ時、何も対策をしなかった場合は一体化せず、層ごとにスジ・切れ目ができてしまいます。これをコールドジョイントと呼びます。コールドジョイントは強度に対する影響は小さいのですが、水や空気が浸透しやすくなるためコンクリートの耐久性を弱めます

コールドジョイントを防止するために、打重ねる時は下層と上層の生コンが混ざるように「バイブレーターを10cm以上」下層に差し込んで締固めなければなりません。コールドジョイントはコンクリートの凝結と関係しています。

コンクリートの凝結については、こちらの記事で詳しく説明しています。 

「打込み」・「打重ね」・「打継ぎ」の違いって?

はじめにそれぞれの違いについて説明します。

  • 打込み…型枠内に生コンを流す事
  • 打重ね…生コンを複数の層に分けて打込む事
  • 打継ぎ…既に硬化したコンクリートに後から生コンを継ぎ足す事

打込みの中に、打込み作業の方法として「打重ね」と「打継ぎ」があると理解してください。

食べ物でいえば、和食というジャンルの中に寿司や天ぷらといったものがあるのと同じです。

打重ねは、生コンの凝結前に重ねて打っていく事で、打継ぎは、生コンが硬化した後に次のスパン(区画)のコンクリートを打つ事。

分かりやすい例として、マンションの打設を例に説明します。

型枠は、3階の柱・壁及び天井(4階床)まで組まれた状態です。はじめに柱・壁に生コンを流し込み、下から上へと重ねて打込みます。一度で上まで流す事は出来ないため、グルグルと壁に沿って回りながら打込みしていき、天井(4階の床)まで流していきます。

高さのある部材は一度で上まで流し込む事が出来ないため何層かに分けて重ねていく、この打込み方法が打重ねという打ち方になります。天井の高さまで打込んだらスラブ(天井部分)を打ち、3階部分の打設はおしまいです。

コンクリートが硬化し次の作業が出来るようになると、4階部分の鉄筋を作り型枠をセットします。そして、3階部分と同様に生コンを打込みます。この打込み方法が打継ぎという打ち方になります。

構造・工程上、一度で打設する事が出来ず、硬化した状態のコンクリートに生コンを継ぎ足して一つのものを作るのが打継ぎという打込み方法と覚えてください。

コンクリートの打継ぎ部分は一体化しずらく、できるだけ少ない方が良いとされていますが、工程・構造上必ず打継をしなければならないのが実情です。

まとめ

今回は打込みについて説明しました。

「打込み」・「打重ね」・「打継ぎ」はそれぞれ別の意味があること。特に、打重ねと打継ぎは、意味を混同して覚えている人も多い印象のため注意が必要です。

打込みで重要なことは、コンクリートの分離を抑えて均質な状態とすること。それを理解していれば打込みの基準はすんなりと頭に定着すると思います。

打込みはコンクリート打設をする上で構造体の耐久性に関わるため、確実に作業をする事が大事です。

コンクリート打設の手順について詳しい説明は以下の記事をご覧ください。

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