高流動コンクリートのスランプフロー試験 規格値、JIS、目的 

試験

コンクリートの流動性の指標の代表的なものに、スランプフローがあります。スランプとは、コンクリートの沈下量を測定するものですが、スランプフローは、コンクリートの広がりを測定します

JISが2019年度に改定され、スランプフロー管理のコンクリートが広がりをみせ始め、スランプフローの試験も新たな規格が制定されています。

本記事では、スランプフローの規格について、試験のやり方、ポイントなどについて解説していきます。

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スランプフローの規格と許容範囲

2019年度に「JIS A 5308レディーミクストコンクリート」が改定され、普通コンクリートの区分に、新たにスランプフロー管理の普通コンクリートが規定され、高強度コンクリートのスランプフローのメニューも増えました。

JISで規定されているスランプフローのコンクリートは、コンクリートの種類と呼び強度によって決まっています。

スランプフローの規格値

普通コンクリート
  • スランプフロー45cm
    「呼び強度27~45」
  • スランプフロー50cm
    「呼び強度33~45」
  • スランプフロー55cm
    「呼び強度36~45」
  • スランプフロー60cm
    「呼び強度40~45」

材料分離抵抗性の観点から、 スランプフローが大きくなるにつれ、呼び強度も大きくなっているのが分かりますね。

高強度コンクリート
  • スランプフロー45~60cm
    「呼び強度50~60」

高強度コンクリートの場合、充分な粉体量を確保しているので、45~60cmまで自由に選定することが出来ます。

スランプフローの許容範囲

スランプフローの許容範囲
  • スランプフロー45~55cm
    「±7.5cm」
  • スランプフロー60cm
    「±10cm」
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スランプフロー試験方法

コンクリートのスランプフロー試験方法は、JIS A 1150に規定されています。

試験方法は、スランプ試験と基本的には同じですので、スランプ試験と違う点やプラスして必要な事を解説します。スランプ試験については、こちらの記事コンクリートのスランプ試験とは?方法-基準-判定-ポイントを解説を。

試験器具

試験器具では、平板のサイズが違うこと、ストップウォッチがプラスで必要な器具となります。

  • スランプフロー板
    大きさが0.8m×0.8m以上
  • ノギス又はメジャー
    1mmまで読み取れるもの
  • ストップウォッチ
    0.1秒まで計測できるもの

スランプフロー試験方法

スランプ試験の方法とは、異なっている部分やスランプ試験にはない項目をリストしました。

  • スランプコーンに詰め始めてから、2分以内に詰め終わること。
  • 詰め方は、突き固めや振動を与えない1層詰めとするか、3層詰めの場合、各層5回突き固めること。
  • スランプコーンを引き上げる時間は、高さ 30 cm で 2〜3秒とするが、コンクリートがコーンとともに持ち上がる恐れがある場合は、10秒でゆっくり引き上げる。
  • コーンの内側にコンクリートの付着が多い場合は、静かにコンクリートの中心部にかき落とす
  • コンクリートの動きが止まったら、直径が一番大きく広がった所と、そこと直交する部分の直径を1mm単位で測定する。測定した両直径の差が50mm以上となった場合、試験をやり直す。
  • フローの流動停止時間を測定する場合は、コーンの引き上げるタイミングでストップウォッチをスタートし、目視でコンクリートの動きが止まったタイミングでストップする。
  • スランプフローの結果は、両直径の平均値を5mm又は0.5cm単位に丸めて表示する。

ここで、スランプフロー試験方法についてのポイントです。

粘性が大きくなりがちなスランプフローコンクリートの場合、コーンの引き上げと同時に、詰めたコンクリート自体も、コーンにへばりついて持ち上がる事があります。そういった場合、コーンの上げ方をゆっくりとさせ、平板とコーンの隙間からコンクリートが流れ出ていくようにゆっくりと引き上げます。

スランプフローは1mm単位で測定し、平均値を5mm単位に丸めます。5mm単位で測定する間違いがよくありますが、1mmで測定し、平均値を5mmに丸めるが正しいやり方です。

スランプフロー試験の表示方法
誤った表示例


スランプフロー 62.5×60.5=61.5cm

正しい表示例

スランプフロー 62.8×60.3=61.5cm

そしてフローの流動停止時間ですが、以前は、50cm到達時間と流動停止時間の2項目について規定がありましたが、50cm到達時間については、誤差が生じやすいこと・50cm到達時間自体は、管理項目として利用されていない等のため、規定から削除されています。

Jリングフロー試験とは

JIS A 1159 コンクリートのJリングフロー試験方法とは、普通コンクリートのスランプフロー管理のコンクリートが規定された事により、新たに制定された規格です。

普通コンクリートのスランプフロー管理のコンクリートとは、つまり高流動コンクリートを言いますが、高流動コンクリートの評価は、「①流動性、②材料分離抵抗性、③間隙通過性」が指標となります。①、②については、スランプフロー試験でもある程度評価できますが、③についての評価方法として新たにJリングフロー試験が制定されました。

Jリングとは、鉄筋を想定とした障害物の事で、直径30cmのリングに等間隔に16本の銅棒が刺さっている装置です。スランプフロー試験の際に、コンクリートが、このリングをどのくらい通過したかや、リングの内側と外側の比較によって、③間隙通過性や、②材料分離抵抗性を評価する試験方法です。

この規格と合わせて制定された規格がもう一つあります。それが、JIS A 1160 増粘剤含有高性能AE減水剤を使用した高流動コンクリートのワーカビリティーの評価基準です。

Jリングフロー試験で得た試験結果を、どのように評価したら良いのかが書かれた規格です。

増粘剤含有高性能AE減水剤とは、通常の高性能AE減水剤の機能に加えて、コンクリートに粘性を付与する機能を追加した混和剤です。なぜ粘性が必要かと言うと、材料分離抵抗性は単位セメント量の影響が大きく、普通コンクリートレベルの単位セメント量では、スランプフローにまで流動性を大きくすると、材料分離ぎみの状態になってしまうからです。

「①流動性、②材料分離抵抗性、③間隙通過性」は各々のバランスが大事となり、流動性が大きくなると分離抵抗性が小さくなるが、間隙通過性は大きくなる。しかし流動性のみ大きくし過ぎると、材料分離をおこし、間隙通過性は小さくなります。3つの要素には適度な粘性が重要であると言えます。

最後に

スランプフロー管理のコンクリートについては、材料分離を生じない配合で製造するように、という規定があり、その評価方法として、JIS A 1159 と JIS A 1160が制定されました。
あくまで、配合設計時に評価すべきであって、通常の管理ではスランプフローが許容範囲内であること、フロー試験後の状態が材料分離を起こしていないことを確認する、という認識で良いでしょう。

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