コンクリートのスランプ試験とは?方法-基準-判定-ポイントを解説

試験

コンクリートの試験の中でも、スランプ試験はとても頻度の高い試験です。
簡易的な器具で行えますし、難しい作業も特に必要としないため、簡単に試験ができると思われがちです。

しかし、規定された通りの方法で試験を行わなければ、正しい試験結果を求めることは出来ません。

この記事では、スランプ試験について、試験のやり方や判定のポイントについて解説します。

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スランプの規格と用語とは

まずは、用語の解説から。

用語
  • 許容範囲
    目標値と測定値の差において、合格として良い範囲
  • 試験の妥当性
    試験結果を正しいと扱うか否かの判断

スランプの規格

コンクリートのスランプは、コンクリートの種類別に JIS(日本産業規格) A 5308に規定されています。まずは、スランプの規格値と許容範囲について見てみましょう。

スランプの規格値
  • 普通コンクリート
    「8, 10, 12, 15, 18, 21cm 」
  • 軽量コンクリート
    「8, 10, 12, 15, 18, 21cm 」
  • 舗装コンクリート
    「2.5, 6.5cm」
  • 高強度コンクリート
    「12, 15, 18, 21cm」
スランプの許容範囲
  • 2.5cm
    「±1cm 」
  • 5及び6.5cm
    「±1.5cm
  • 8~18cm
    「±2.5cm
  • 21cm
    ±1.5cm(呼び強度27以上で高性能AE減水剤を使用した場合±2cm)」

コンクリートの流動性の指標として、スランプの他にスランプフローというものがあります。

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スランプ試験方法

コンクリートのスランプ試験方法は、JIS A 1101に規定されています。
まずは試験器具と試験方法について解説します。

試験器具

スランプ試験を行うために必要な器具をまとめました。
太字で書かれている器具は、JISで規定されているもの。細字は、JISの規定通りに試験を行うために必要となる器具です。

  • スランプコーン
    上端内径100mm、下端内径200mm、高さ300mmの円錐形の筒
  • 突き棒
    直径16mm、長さ500~600mm、先端が半球状の、金属製の丸い棒
  • スランプ板
    表面が平滑で、水に濡れない平板。一般に600×600mmの金属板
  • ハンドスコップ
    コンクリートをすくうためのスコップ
  • こて
    コンクリートの表面をならす用のこて
  • 水平台+水準器
    スランプ板を水平に設置するための台と、水平を確認する水準器
  • スランプゲージ
    スランプ値を測るもの

試験方法

スランプ試験の流れ
  • step1
    スランプ板・スランプコーンの設置
  • step2
    コンクリートの投入と突き固め
  • step3
    スランプコーンを引き上げ、スランプを測定

(step1)
初めに、 スランプ板を水平台の上に設置します。その時、水準器を用いて水平の確認をします。
水平の確認を終えたら、スランプ板とスランプコーンの内側を、湿った布などでふき、板の中央にコーンを置きます。

(step2)
スランプコーンの中に、ほぼ等しい量の3層となるようにコンクリートを詰めていき、各層を25回ずつ突き棒で一様に突きます

具体的には、コーンの1/3の量のコンクリートを詰め、コンクリートの表面を突き棒でならした後に、コンクリートの表面全体を突くように渦を巻きながら25回突きます。

これを、2層目、3層目と繰り返した後、スランプコーンの上面に合わせてコンクリートをならし、スランプ板の上にこぼれたコンクリートをふき取ります。

(step3)
スランプ板をふき取ったら、2~3秒間で、スランプコーンを30cmの高さまで、まっすぐ上に引き上げます。

この時のコンクリートの下がり具合をスランプと呼び、スランプゲージで0.5cm単位で測定します。

スランプ試験の注意点として、スランプコーンにコンクリートを詰め始めてから、コーンを上に引き抜くまでの時間は、3分以内に行わなければなりません

スランプ試験の判定基準

スランプの規格値によって許容範囲が決まっていますので、判定は、測定値がその範囲内かを確認します。ですが、スランプの値を測定する前に、スランプ試験の妥当性を確認します。

試験後のコンクリートが、スランプコーンの中心軸に対して偏ったりくずれたりして、不均衡な形となった場合、試験のやり直しを行います。

その際、スランプコーンに詰めたコンクリートは捨て、別のコンクリートで再試験を行います。

スランプ試験が妥当だった場合、スランプ値を0.5cm単位で測定しますが、ここでポイントです。

スランプ規格値18cmのコンクリートの、スランプの許容範囲は±2.5cm、つまりスランプ試験の結果が 15.5cm~20.5cmの範囲にあれば合格ということになります。

スランプの許容範囲
  • 2.5cm
    「±1cm 」
  • 5及び6.5cm
    「±1.5cm
  • 8~18cm
    「±2.5cm
  • 21cm
    ±1.5cm(呼び強度27以上で高性能AE減水剤を使用した場合±2cm)」

試験を行った結果、20.7cmだった場合、スランプ試験は不合格でしょうか?・・・答えは、合格です。20.7cmは、0.5cm単位で測定すると20.5cmとなるからです。

0.5cm単位で測定するという事は、2捨3入、7捨8入して数値を0.5cm単位に丸めなさいという事を言っています。

  • 19.8cm~20.2cmの範囲は、
    2捨3入・7捨8入して20.0cmと測定する
  • 20.3cm~20.7cmの範囲は、
    2捨3入・7捨8入して20.5cmと測定する

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