マスコンクリートとは、部材断面の大きなコンクリートの事を言います。とはいえ、「マスコンクリート」というコンクリートの種類がある訳ではありません。
マスコンクリートとは、大断面のコンクリート構造物を作る時の「設計・施工・管理」基準であると理解してください。
このページでは、マスコンクリートについて、定義・原因・対策などを説明します。
マスコンクリートの基準・定義
マスコンクリートの原因・特徴
マスコンクリートの基準がなぜ必要なのか。それは、コンクリートで大断面を作ると温度ひび割れを起こしてしまうからです。
マスコンクリートの温度ひび割れとは、セメントの水和熱がコンクリート内部で蓄積され、コンクリート表面と内部に温度差が生じる事、温度上昇に伴う膨張及び温度降下に伴う収縮によって発生します。
温度ひび割れには、
の2種類のパターンがあります。
次に、マスコンクリートの温度ひび割れの対策を解説します。
マスコンクリート対策
マスコンクリート対策は、部材温度を低く保つ事に尽きます。部材内部と表面の温度差を小さく保つことが重要で、そのためには、温度上昇量を抑える対策をすることが必要となります。
各段階でのひび割れ対策を説明します。
調合・・・温度上昇の小さい調合とする 製造・・・コンクリート温度を低く抑える 打込み・・・ブロック割り・リフト高の検討 養生・・・部材温度を制御する 設計・・・ひび割れの制御を検討する
配合・調合による対策
コンクリートの水和熱を抑制するために、低発熱型のセメントを使用する・セメント量自体を少なくする対策です。
低発熱型のセメントとは、中葉熱や低熱ポルトランドセメント及び混合セメントの事を言いますが、混合セメントの場合、セメント量が多くなると温度上昇量が大きくなることがあるため、注意が必要です。
セメント量を減らすには、
などが有効です。
製造時の対策
打込むコンクリートの温度が高いと、水和反応が促進されるため内部温度が高くなります。そのため、コンクリート製造時に冷水を使用したり、骨材を冷却するなどして、コンクリート自体の温度を低くすることが有効です。
施工時の対策
打込んだコンクリートの温度上昇量は、部材の厚さ・形状によっても変わります。そのためブロック割りを小さく、リフト高を低くすることが有効です。
養生での対策
部材内部と表面の温度差を小さくすることが重要であるため、散水などで表面のみを冷却してしまうと、逆に部材内部との温度差が生じるため注意が必要です。
内部温度が最高点に達したら、表面を保温し部材全体をゆっくりと冷ますことが大切です。
設計時点での対策
すでに説明した対策を行っても、ひび割れをなくすことが難しかったり、対策自体が合理的でない場合もあります。
そのため、ひび割れをなくすのではなく、発生位置やひび割れ幅をコントロールするためのひび割れ誘発目地やひび割れ制御鉄筋を検討することも大切です。
まとめ
マスコンに有効な対策は、セメントの水和熱を下げる事+セメント量自体を減らす事と打込み後の養生を長くし、部材全体を徐々に冷やす事。そして、ひび割れ発生をコントロールするための誘発目地や制御鉄筋を計画するのが一般的な対策になります。
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