水密コンクリートってなに?配合や特徴、施工の注意点

種類

水密コンクリートとは、水圧に耐えて漏水を防いだり水の浸透や漏出を防ぐために、水密性が必要な構造物に使われるコンクリートのことです。

水密性とは、水の浸入や透過に対する抵抗性のこと。

水が漏れない・浸透しない性質のことを言います。

水密コンクリートは、水圧や水の浸入に対する抵抗性が必要な場合に使用されます。

水密性が必要な構造物
  • 水槽やプールなど貯水施設
  • 地下室などの地下構造物
  • ダムや橋脚などの大型構造物

水圧の作用を受ける・頻繁に水に接する環境の構造物に適したコンクリートです。

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水密コンクリートの品質基準や規格値

水密コンクリートの品質の規定は次の様になります。

  • ブリーディング量…0.3㎤/㎠以下
  • 乾燥収縮率…8×10-4㎜以下
  • 目標空気量…4.5%以下

いずれも、コンクリートのひび割れや内部の空隙を減らすための規定で、漏水・透水を小さくし水密性を確保するためになります。

コンクリートの水密性の指標として、透水係数k(cm/s)が使われています。

k=Q/A×L/P Q:水の流量
A:水の透過面積
L:供試体の厚さ
P:水頭差

水密コンクリートの配合基準や材料の選定

水密コンクリート配合の基準値は以下の表になります。

 水セメント比スランプ空気量
JASS550%以下18cm以下4.5%以下
標準示方書55%以下

また、セメント量・単位水量は少なく、単位粗骨材量は多くするのが良いとされています。

  • セメント量…セメントペーストが増えると収縮量が増大
  • 単位水量…コンクリートの沈降・ブリーディング・乾燥収縮が増大
  • 単位粗骨材量…骨材の絶対容積が多いと乾燥収縮は抑制

いずれも、コンクリートのひび割れや内部の空隙を減らす方向に作用するため、水密コンクリートでは重要な項目です。

粗骨材の最大寸法が大きくなるほど、水密性は低下します。

下のイラストは、コンクリート内部の粗骨材の様子を示しています。

[イラストA]
コンクリートにブリーディングが起こって
いる状態。
ブリーディング水の一部が、骨材下面に溜まり
水膜(イラストの青い部分)が出来ている。



[イラストB]
材齢が経過し、内部の水が消失した状態。
水膜部分は空隙(イラストの白い部分)となって
内部に残ります。


寸法の大きい骨材ほど大きい水膜を作るため、水が消失した後の空隙も大きくなり、水密性が低下します。

使用材料としては、次のようなものが有効となります。

  • 混和材
  • 膨張材・収縮低減剤
  • 防水材

混和材(高炉スラグやフライアッシュなど)は長期的に水和反応が持続し、コンクリート内部の組織が密実になります。

膨張材・収縮低減剤は、乾燥収縮・自己収縮ひび割れの発生を低減します。

そのほかにも、防水材と呼ばれる材料などがあります。

防水材について。

JISに適合した材料ではなく、水密性には効果があるが、それ以外の品質には不明瞭なことが多いため、注意が必要です。

施工では打継や養生に注意する

水密コンクリートの施工上の注意点は、次の二つです。

  • 原則として、打継目はつくらない
  • 2日間以上、湿潤養生を長く行う

打継目は漏水の原因となるため、原則として打継目はつくらない。やむを得ず打継ぎをする場合は、水平打継ぎとし、垂直打継ぎは極力避ける。

コンクリートの養生管理は日数と強度で管理し、一般のコンクリートでは、規定の圧縮強度まで硬化が進めば、途中でも養生を打ち切っても良いとされています。

コンクリート表面が緻密なほど水密性が向上する

水密コンクリートでは、一般のコンクリートよりも2日間以上養間を長くし、途中で打ち切ることなく養生をしなければなりません

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水密コンクリートのブリーディング量試験

コンクリートのブリーディング量を測定する方法は、

JIS A 1123[コンクリートのブリーディング試験方法]

この試験は、内径250mm×内高285mmの金属製の円筒状の容器に、コンクリートを打ち込み、試料上面に浸み出た水を経時的に採取します。

採取した水の総量から、ブリーディング量とブリーディング率を算出します。

ただし、この方法は重量物を扱うことや温度制御が必要なことなどから、環境の確保が難しいといった問題があります。

そこで、小型容器によるコンクリートのブリーディング試験方法が、JCI規準として提案されています。

JISとJCIの試験方法を表にまとめました。

 JIS(ブリーディング)JCI(小型ブリーディング)
容器のサイズ内径250㎜×内高285㎜内径150㎜×内高300㎜ 内径125㎜×内高250㎜
試料の温度20±2℃
室温(環境温度)20±3℃

JCI基準は、試験方法はJIS A 1123とほぼ同じですが、温度制御のできない試験室や施工現場における屋外などの実環境における試験も可能です。

JCI(小型容器ブリーディング量)とJIS A 1123(ブリーディング量)は、一般的には小型容器の方がJIS A 1123よりも若干小さくなる傾向があります。

小型容器の方が試料の高さが低いため、水の浸み出しまでの時間が短くなるためと考えられます。

小型容器とJIS A 1123の試験結果を比較する際には、

  • ブリーディング量とブリーディング率を、それぞれ小型容器ブリーディング量と小型容器ブリーディング率として区別する
  • 容器の内径を表記する

試験方法によって結果に若干ながら違いが出るため、試験方法を明確に記述し、結果の混用を避ける必要があります。

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