細骨材率方式による計算例と単位粗骨材かさ容積方式による計算例を解説します。
計算方法の違い以外は、配合の条件・物性値など同一条件とします。
最終的に、以下の表の空欄を全て埋めることが目的です。
配合表
空気量 | 水セメント比 | 細骨材率 | 水 | セメント | 細骨材 | 粗骨材 |
1.設計の条件と各物性値
今回の計算例では以下の条件で配合計算を進めていきます。
2.配合設計における計算の流れ
まずは、配合計算の流れとそのポイントから見てみましょう。
- step1配合強度の算出
目標強度と強度の割増係数から、配合強度を求める
- step2水セメント比の算出
強度と水セメント比の関係式と配合強度から、水セメント比を求める
- step3単位水量及び単位セメント量の算出
水セメント比から、単位水量と単位セメント量を求める
- step4単位細骨材量の算出及び単位粗骨材量の算出
残りの容積から、細骨材と粗骨材の割合を求める
配合計算のポイントは、重さを計算するのではなく、量・割合を計算すると考える事です。
1m3当りの量、つまり単位量(kg/m3)を計算することを意識するとスムーズに進みます。
3.配合計算の過程とポイント
では、実際にstep1から計算過程を解説していきます。
1.配合強度の算出
初めに、強度の変動を考慮して強度の割増しを行い、配合強度を算出します。
配合強度 =
=
=
設計基準強度×割増し係数
21×1.2
25.2N/mm2
2.水セメント比の算出
次に、求めた配合強度に相当する水セメント比を、強度と水セメント比の関係式より算出します。
強度(f) =
25.2 =
37.5 =
1.697 =
C/W =
C/W =
C =
1 =
1÷1.697 =
W/C =
=
=
−12.3+22.1×C/W
−12.3+22.1×C/W
22.1×C/W
C/W
1.697より、水セメント比を求める
1.697
1.697×W
1.697×W/C
W/C
1÷1.697
0.589×100(百分率)
58.9%
3.単位水量及び単位セメント量の算出
設計スランプ12cmの単位水量(W)が172kg/m3 と設定されているので、水セメント比と単位水量の値から、
単位セメント量を算出します。
W/C =
172÷C =
172 =
172÷0.589 =
C =
58.9%
0.589
0.589×C
C
292
ここまでで、表の中はこのような数値が得られました。
空気量 | 水セメント比 | 細骨材率 | 水 | セメント | 細骨材 | 粗骨材 |
4.5% | 58.9% | 48.0% | 172kg/m3 | 292kg/m3 |
ここまでは、細骨材率方式と単位粗骨材かさ容積方式とも同じ計算過程です。
ここから、骨材の量を計算しますが、骨材の算出方法が変わってきます。
4.単位細骨材量及び単位粗骨材量の算出
1.細骨材率方式による計算例
細骨材率方式は、細骨材率を元に計算する方法です。
細骨材率は、容積の比率なので、初めに容積の計算から始まります。
コンクリート1m3(1000L)中の骨材の全容積を求めます。
- 設計空気量=4.5%
- 細骨材率=48.0%
- セメント密度=3.15g/cm3
- 水の密度=1.00g/cm3
- 細骨材密度=2.60g/cm3
- 粗骨材密度=2.70g/cm3
より、
骨材の全容積 =
=
=
=
細骨材容積 =
=
=
細骨材量 =
=
粗骨材容積 =
=
粗骨材量 =
=
1000-(水の容積+セメントの容積+空気量の容積)
1000-(172÷1.00+292÷3.15+45(1000×4.5%))
1000-(172+93+45)
690L
全骨材容積×(細骨材率÷100)
690×48.0%÷100
331L
331×2.60
861
690-331
359L
359×2.70
969
空気量 | 水セメント比 | 細骨材率 | 水 | セメント | 細骨材 | 粗骨材 |
4.5% | 58.9% | 48.0% | 172kg/m3 | 292kg/m3 | 861kg/m3 | 969kg/m3 |
2.単位粗骨材かさ容積方式
単位粗骨材かさ容積方式は、粗骨材のかさ容積を元に計算する方法です。
かさ容積の値から粗骨材量を先に求め、残った分が細骨材となります。
- 設計空気量=4.5%
- 粗骨材かさ容積=0.605m3/m3
- セメント密度=3.15g/cm3
- 水の密度=1.00g/cm3
- 細骨材密度=2.60g/cm3
- 粗骨材密度=2.70g/cm3
- 粗骨材単位容積質量1.60kg/L
より、
粗骨材量 =
=
細骨材容積 =
=
=
=
細骨材量 =
=
細骨材率 =
=
=
1.60kg/L×1000×0.605(粗骨材かさ容積)
968
1000-(水の容積+セメントの容積+空気量の容積+粗骨材の容積)
1000-(172÷1.00+292÷3.15+45(1000×4.5%)+968÷2.70)
1000-(172+93+45+359)
331
331×2.60
861
細骨材容積÷全骨材容積
331÷(331+359)
48.0%
空気量 | 水セメント比 | 細骨材率 | 水 | セメント | 細骨材 | 粗骨材 |
4.5% | 58.9% | 48.0% | 172kg/m3 | 292kg/m3 | 861kg/m3 | 968kg/m3 |
4.まとめ
最後は二通りの手順で配合計算を行いました。
四捨五入の影響も出る場合もありますが、どちらの計算方法でも同じ答えが出ると思います。
配合計算の大事なポイントは、重さを計算するのではなく、量・割合を計算する事
コメント
とても分かりやすかったです!
もしよろしければ、現場配合についても教えていただきたいです!!
コメントありがとうございます。
現場配合についても説明していきますのでよろしくお願いします。
強度と水セメント比の関係式−12.3+22.1×C/Wというのがありますが、住友大阪セメントの技術資料をネットで見ると材齢によって定数の部分が変わっているようです。
配合計算を行うときは、どの材齢の定数を使用すればよろしいでしょうか。
お手数ですが、勉強のためご教授いただけると幸いです。
コメントありがとうございます。
材齢の選定は、目標強度を何日で達成するかによって変わります。
一般に保証材齢は28日であることが多いですが、56日であったり7日で保証することもあります。
目標強度が同じでも保証材齢によって配合は変わってくるため、材齢ごとに関係式を持つ必要があります。