コンクリートの配合計算って、何から決めてどう進めていくかわかりますか?
正しい手順で進めないと、何度も手戻りする原因にもなります。
そこで本記事では、配合計算の流れと考え方、ポイントについて、解説していきます。
1.用語
- 結合材量・・・セメントや高炉スラグ、膨張材など、強度発現に寄与する材料全般
- 細骨材率・・・ 全骨材量に対する細骨材の容積の割合
- 単位粗骨材かさ容積・・・ コンクリート中の粗骨材の見掛けの容積
2.配合計算の流れ
配合計算において、必要となる項目と各ステップのポイントについて解説していきます。
まずは、項目とその流れを見てください。
- step1水セメント比の決定
配合強度・耐久性から定めた指定条件
- step2単位水量の決定
スランプ・単位水量の指定条件
- step3単位セメント量・結合材量の決定
水セメント比・単位セメント量の指定条件
- step4細骨材量・粗骨材量の決定
ワーカビリティー
- step5混和剤量の決定
スランプ・空気量・ 単位水量の指定条件
配合強度やスランプ、指定条件が明らかになったところで、ステップに沿って材料毎の単位量を決めていきます。
3.各ステップ毎のポイント
次に、各ステップ毎の数値の定め方や、数値を決める際のポイント・考え方について解説していきます。
1.水セメント比の決め方のポイント
コンクリートの配合を考える上で、一番重要かつ最初に決めるのが、水セメント比(W/C)と呼ばれる値です。
水セメント比は、コンクリートの強度と耐久性、両方を左右するため、配合計算は水セメント比を土台として進めていきます。
水セメント比を決定する際に気をつけるポイントには、
- 配合強度
- 耐久性
- 水密性
- コンクリートの種類
などが、あげられます。
設計基準強度・耐久設計基準強度から求めた配合強度を元に、水セメント比を定めますが、特に耐久性を必要とする場合や水密性が必要な場合は、強度の大小に関わらず、水セメント比の最大値が指定される場合があります。
2.単位水量の決め方のポイント
単位水量とは、コンクリートのスランプを左右する値です。単位水量が多ければ、コンクリートのワーカビリティが良くなりますが、耐久性の観点から、出来る限り少ない方が良い値です。
単位水量を決定する際に気をつけるポイントには、
- スランプ
- 耐久性
- コンクリートの種類
などが、あげられます。
日本建築学会では185kg/m3以下と規定されていますが、耐久性を必要とする場合はより少ない指定値となりますし、反対に、場所打ち杭コンクリートの場合は、中性化や乾燥収縮が生じにくいため、200kg/m3以下まで許容されたりもします。
3.単位セメント量・結合材量の決め方のポイント
セメント量は多ければ多いほど良いイメージがあるかと思いますが、過大なセメント量はコンクリートに悪影響を及ぼすものです。
単位セメント量・結合材量を決定する際に気をつけるポイントには、
- 水セメント比
- 単位水量
- 水和熱
などが、あげられます。
セメント量自体は、水セメント比と単位水量が決まれば、結果として自然と求まる値です。日本建築学会では、最小量を270kg/m3以上とされていますが、水和熱を考慮して最大値を規定する場合もあります。
4.細骨材量・粗骨材量の決め方のポイント
セメント量と単位水量が求まると、残りの余白を細骨材と粗骨材で埋める事になります。これには、2種類の考え方があり、
- 細骨材率による方法
- 単位粗骨材かさ容積による方法
と言います。
細骨材率とは、配合中の骨材量のうち、細骨材の絶対容積が何%なのか?という事です。
細骨材率による方法とは、細骨材率を変化させて所要のワーカービリティーを得るのに、一番単位水量が少なくなる値を探しましょう、というやり方です。
単位粗骨材かさ容積とは、粗骨材の見掛けの容積を言います。例えば、オモチャ箱にブロックをしまう時、ブロックは様々な形をしているため、箱のあちこちに隙間が残ってしまいますよね?!
その隙間が残った状態の容積を、かさ容積といいます。
単位粗骨材かさ容積による方法とは、粗骨材のかさ容積を先に決めてしまおう、というやり方です。
どちらも、一番単位水量が少なるバランスを見つけましょう!という事に変わりはありません。
5.混和剤量の決定
混和剤とは、主に、単位水量を減らす事、空気量を調整する事を目的として使われます。
混和剤量を決定する際に気をつけるポイントには、
- スランプ
- 空気量
- 単位水量
などが、あげられます。
スランプを大きくする・単位水量を減らす場合に混和剤量を増減させたり、特に、空気量の調整は混和剤量でしかコントロール出来ません。
ただ過剰な量の混和剤の使用は、コンクリートの凝結遅延やブリーディングの増加など悪影響を及ぼす事があるので、適切な使用範囲を確認することが必要です。
4.まとめ
では最後に、実際の配合計算の流れをサラッと書いてみます。
まずは、コンクリートの種類と各種指定条件を確認する。
次に、指定条件から求められる強度と基準となるであろう強度を比較する。
比較検討した強度の大きいほうの水セメント比を決めて、配合計算の流れ通りに決めていく。
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