ワーカビリティーと細骨材率(s/a)の関係

配合

コンクリートの配合に、細骨材率という数値があります。細骨材率は、コンクリートのワーカビリティーを左右する重要な値です。

細骨材率を理解すると、配合表の単位量を見ただけで、おおよそのコンクリートの性状が想像出来るようになります。

この記事では、コンクリートの細骨材率(s/a)について、意味や計算方法、役割や基準などについて説明します。

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コンクリートの配合計算について知ろう

細骨材率を説明する前に、まずは簡単に配合設計の流れを見てみましょう。
配合設計は以下の手順で進めていきます。

配合計算の流れ
  • 粗骨材の最大寸法
  • セメントの種類・スランプ・空気量
  • 配合強度
  • 水セメント比
  • 単位水量+単位セメント量
  • 単位粗骨材量・単位細骨材量
  • 混和剤量

今回の記事は6単位粗骨材量・単位細骨材量の部分についての説明です。

ちなみに、単位水量・単位セメント量・単位○○量の単位とは、コンクリートを1㎥製造する時の使用量のことを言います。

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コンクリートの細骨材率(s/a)とは?

コンクリート1㎥当りの、細骨材(sand)と全ての骨材(all gravel)の比率を細骨材率と言い、sand / all gravelを略してs/aと表記します。

具体的には、細骨材の容積を全骨材(細骨材+粗骨材)の容積で割った値です。

重要

割合は、質量比ではなく、容積比である事に注意してください。

細骨材率の計算式と計算例

下式が細骨材率を求める計算式です。

s/a=Sv/Av×100(%)
Sv:細骨材容積
Av:全骨材容積(細骨材容積+粗骨材容積)

例題1 計算例

細骨材量:910kg、細骨材密度:2.60g/㎤
粗骨材量:1080kg 、細骨材密度:2.70g/㎤

Sv=910/2.60
=350

Av=910/2.60+1080/2.70
=350+400
=750

s/a=350/750×100
=46.67≒46.7(%)

単位粗骨材量・単位細骨材量を算出する方法が2通りあります。

  • 最適細骨材率による方法(土木学会)
  • 最適単位粗骨材かさ容積法(建築学会)

どちらのやり方でも単位粗骨材量・単位細骨材量の値は変わりません。設計の手順として、細骨材の量をベースにするのか、粗骨材の量をベースにするのかという違いです。

最適単位粗骨材かさ容積法について、簡単に解説すると、
粗骨材の絶対容積と実積率から、かさ容積を求めて計算する方法です。

詳しくは、こちらの記事で配合計算の説明しています。

細骨材率の役割・基準(標準)

コンクリートの骨材は主に増量材としての役割を担っています。細骨材率は、増量材の比率を変えることでコンクリートのワーカビリティーをコントロールする役割を持っています。

その中でも、粘性(材料分離抵抗性)と流動性のバランスをとる役割をしています。

セメント量の多い配合は、粘性を下げるために細骨材率を減らす。

単位水量の多い配合は、粘性を持たせるため細骨材率を増やす。

一般に、スランプが大きいほど細骨材率を大きくし、水セメント比が小さいほど細骨材率を小さくします。
スランプは単位水量で調整すると思われがちですが、実際には、細骨材率(s/a)を増減する事で、ある程度スランプの設定が決まってしまいます。

細骨材率(s/a)を変動させずに、単位水量だけでスランプをコントロールすると、バサバサかシャバシャバのコンクリートにしかなりません。同じスランプでもワーカビリティーの良否があるのは、細骨材率(s/a)が影響しているからです。

細骨材率に一定の基準というものはありませんが、目安となる指針があります。

細骨材率の標準値

コンクリート標準示方書(土木学会)
水セメント比55%・スランプ8cm程度のコンクリートにおける標準値

粗骨材の最大寸法
(mm)

単位粗骨材かさ容積
(㎥/㎥)
空気量
(%)
細骨材率
(%)
単位水量
(kg/㎥)
15 0.58 7.0 48 170
20 0.62 6.0 45 165
25 0.67 5.0 43 160
40 0.72 4.0 40 155

JASS 5(建築学会) 
普通ポルトランドセメントでAE減水剤もしくは高性能AE減水剤を使用する普通コンクリートの標準値

水セメント比
(%)
スランプ
(cm)
AE減水剤 高性能AE減水剤
砕石(20mm) 砂利(25mm) 砕石(20mm) 砂利(25mm)
40〜60 8
12
15
18
21
0.66
0.65
0.64
0.60
0.56
0.67
0.66
0.65
0.61
0.57
0.67
0.66
0.65
0.61
0.57
0.68
0.67
0.66
0.62
0.58
65 8
12
15
18
21
0.65
0.64
0.63
0.59
0.55
0.66
0.65
0.64
0.60
0.56
   

この表を目安に配合設計を行い、コンクリートの状態で微調整をしていきます。

細骨材率に影響を及ぼす要因(単位水量、水セメント比、空気量など)

最後に、細骨材率に影響を及ぼすおもな要因をまとめて説明します。

最適細骨材率に影響を及ぼす要因
  • 細骨材の粗粒率
  • 空気量
  • 水セメント比
  • 粗骨材の最大寸法
  • 粗骨材の種類(砕石か砂利か)

まとめ

コンクリートの細骨材率について説明しました。

  • 細骨材率は、容積比である
  • 粘性(材料分離抵抗性)と流動性のバランスをとっている
  • 細骨材率には基準値はないが、標準的な目安がある
  • 粘性が大きいときは小さく、粘性が小さいときは大きくする

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