
現場でこんな経験はありませんか?
- s/aを上げたのに、かえってバサついた
- スランプは同じなのに、圧送が悪い
- ポンプが詰まりやすくなった
それは“感覚的な誤り”ではなく、材料工学的に説明できる必然現象です。JIS・仕様書・配合設計では適正範囲でも、実施工ではバサつく・流れないなどいった不具合が起こるものです。
理論通りにいかない“なぜ”を解明するのが本記事の目的です。
この記事の結論・要約
細骨材率(s/a)を上げたのにワーカビリティが悪化した場合、骨材の表面積の増加によるセメントペースト量の不足と、内部摩擦の増加が原因です。
これは材料工学的に説明可能かつ実務とも整合する現象で、セメントペースト量の再設計と骨材形状の見直し、混和剤の調整によって対応できる問題です。
ワーカビリティは単なるスランプではなく、材料間摩擦を含む“施工のしやすさ”と定義されています。
なぜ「コンクリートのs/aを上げる=作業性向上」ではないのか
現場で起きている違和感
- s/aを上げたのにバサつく「同じ水セメント比でも作業性が悪い」
- スランプは同じなのに重い「スランプはあるのに締め固めにくい」
- 圧送が詰まりやすい「スランプ値以上に硬さを感じる」
- ポンプ圧送時に流れない
「スランプ値」と「体感」の乖離
| 項目 | 結果 | 補足 |
|---|---|---|
| スランプ | 同じ | 沈み量は同じ |
| 体感 | 重い | 摩擦増大 |
| 圧送性 | 悪い(詰まる) | 抵抗増大 |
スランプは沈下量であり、数値が同じでも施工性は異なる。スランプが同じでも“扱いにくい”状態になるため、同じ12cmでも「軽いコンクリート」と「重いコンクリート」が存在します。
理論:骨材表面積とセメントペーストの関係・メカニズム
| 条件 | 配合A(s/aが低い場合) | 配合B(s/aが高い場合) |
|---|---|---|
| s/a | 42%(骨材表面積が小さい) | 48%(骨材表面積が大きい) |
| スランプ | 12cm | 12cm |
| 体感 | 良好(内部摩擦が小さい) | バサつき(内部摩擦が大きい) |

この図が示しているのは、次の構造です。
| 項目 | s/aが低い場合(良好) | s/aが高い場合(悪化) |
|---|---|---|
| 細・粗骨材の総表面積 | 粗い粒が多く、総表面積が小さい | 細かい粒が多く、総表面積が大きい |
| 骨材間のセメントペースト量 | ペーストに余裕があり、骨材が十分に被覆 | ペーストが相対的に不足 |
| 流動性 | 内部摩擦が小さく、流動性が高い | 骨材同士が接触し、内部摩擦が増大 |
つまり、
という因果が成立します。
FAQ
- Q細骨材率を変えずにワーカビリティを改善するには?
- A
混和剤添加率・単位水量・骨材粒度の最適化を調整する。
- Q細骨材が細かすぎるとどうなる?
- A
表面積増加でペースト不足になりやすく、摩擦が増える。
- Q細骨材率の適正範囲は?
- A
一般に35〜45%程度だが、骨材の粒度と粒形による。
- Qスランプが同じでも違うのは?
- A
内部摩擦の違い。
まとめ
図と理論を理解すれば「なぜ悪化したのか」「どう直すべきか」が現場で即座に判断できます。

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