アルカリシリカ反応(ASR)の診断・調査方法/アルカリ量・アルカリシリカゲル・残存膨張量・アルカリシリカ反応性

アルカリシリカ反応(ASR)調査 診断 診断

特徴的なひび割れのパターン・アルカリシリカゲルの滲出などから、アルカリシリカ反応(ASR)の疑いがある場合、目視観察・現地計測・コアによる各種試験の調査を行います。

また、環境条件の影響を大きく受けるため、日射・雨がかりの状況、海水・凍結防止剤の散布状況を調査するとともに、塩害・凍害などとの複合劣化の可能性についても調査します。

アルカリシリカ反応(ASR)では、アルカリシリカゲルの検出・骨材のアルカリシリカ反応性・コンクリートのアルカリ量を調査し、残存膨張量による今後の膨張量の予測を行い、対策を検討します。

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残存膨張量・解放膨張量

骨材にアルカリシリカ反応性がある場合、調査時点での反応の有無を問わず、長期的には膨張し構造物に劣化を生じさせる可能性があります。

そのため、骨材の膨張量を予測することは、構造物の診断・補修にとって重要な目安となります。

残存膨張量の試験方法

残存膨張量を調べるには、供試体となるコアを採取し、促進養生によるアルカリシリカ反応の膨張量を測定します。

試料と準備

  • コア寸法:原則直径100 ㎜・長さ250㎜(難しい場合、直径75㎜又は50㎜で採取)
  • 採取本数:2本以上採取(ひび割れなどを避ける)

採取したコアは、乾燥や炭酸化の影響を受けないようにするため、採取後すぐに密閉し空気を遮断します。

コアの表面から50㎜程度の部分は、ひび割れ・中性化・アルカリの溶出などの影響を受けている事が多いため、測定箇所から除外します。

下表は、各種促進養生試験を示したものです。

コアの促進養生試験の種類
試験名称促進養生の条件
JCI—DD2法温度40℃、湿度95%以上で養生
デンマーク法温度50℃の飽和NaCl溶液に浸漬
カナダ法温度80℃で1Nの飽和NaOH溶液に浸漬

日本では、一般にJCI—DD2法がよく用いられているが、コアの直径や長さが小さい場合、アルカリの溶出による影響で膨張量が小さく見積もられる事があり、誤った評価をする場合があります。

それに対してアルカリを供給する方法では、コアの寸法によらず膨張量が大きくなるため、残存膨張量の評価が容易になるといった利点があります。

実構造物の膨張は鉄筋の拘束を受けるため、拘束鉄筋比との関係を考慮すること、また、促進養生下での結果であるため、実構造物の膨張量が同じでないことに、注意しなければなりません。

残存膨張量は今後の膨張の可能性の程度を示していますが、測定開始時点でどの程度膨張していたのか、また、今後の膨張速度や最終的な膨張量を確実に測定するものではありません。

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アルカリシリカゲル

アルカリシリカ反応が発生すると、反応性骨材の周囲にアルカリシリカゲルが生成され、骨材周囲や内部の空隙に滞留するとともに、ひび割れを通ってコンクリート表面に滲出します。

コンクリート表面の白色の析出物は、アルカリシリカゲルの他に、遊離石灰やエフロレッセンスなどがあるため、それらを化学分析によって識別する必要があります。

アルカリシリカゲルの識別方法には、以下の様なものがあります。

  • 酢酸ウラニル蛍光法
  • 偏光顕微鏡観察
  • 蛍光X線分析
  • 走査型電子顕微鏡(SEM)観察

もっとも簡便な方法は酢酸ウラニル蛍光法です。対象部位に酢酸ウラニルを塗布しUVライトを照射すると、アルカリシリカゲルが酢酸ウラニルに反応し黄緑色の蛍光色を発します。

骨材のアルカリシリカ反応性

骨材のアルカリ反応性を調べる方法は、二つに大別できます。

  • 岩石学的試験
  • アルカリシリカ反応性試験

岩石学的試験

岩石学的試験は、骨材の岩種や反応性鉱物の種類を調べる事で、アルカリシリカ反応性を間接的に評価するものです。

骨材の種類と反応性鉱物の種類と量を同定することはできますが、構造物中のアルカリシリカ反応は、骨材の混合比率(ペシマム量)や粒径によって相違するため、正確に反応性を評価することは難しいとされています。

岩石学的試験は、次のような分析方法を行います

  • 偏光顕微鏡
  • 粉末X線回折
  • 赤外線吸収スペクトル分析
  • SEM-EDS

アルカリシリカ反応性試験

アルカリシリカ反応性試験は、骨材を実際にアルカリと反応させることで、その反応性の有無を調べる試験です。

アルカリシリカ反応性試験には、次の方法があります。

  • 化学法
  • モルタルバー法
  • 迅速法

化学法は試験期間が短いのが利点ですが、判定の出来ない岩種があります。モルタルバー法は試験期間が長く、測定期間中に水酸化物イオンが漏出してしまうという問題があります。

迅速法は、モルタルバーを高温・高圧下で養生することで迅速に試験結果が得られるようにした方法です。モルタルバー法に比べて、膨張率が低めに出るといった問題があります。

また、石英が反応性鉱物であるチャートなどの骨材の場合、膨張が非常にゆっくり進むため、現行の判定基準では適切な評価が出来ないといった事も問題となっています。

アルカリ量

アルカリシリカ反応は、骨材中の有害物質が、コンクリート細孔溶液中のアルカリ性成分に溶解する反応なため、コンクリート中のアルカリ量を測定することで、反応の可能性を予測することができます。

アルカリ量の試験方法

コンクリート中のアルカリは、細孔溶液中に「Na、Kなどのアルカリ金属」や「OH(水酸化物イオン)」として存在しています。

そのため、硬化コンクリートのアルカリ量の測定は、Na・Kの含有量、またはOHの含有量の両面から分析することができます。

アルカリの分析は、硬化コンクリート内のアルカリを水溶液として抽出します。抽出の方法には以下があります。

  • 粉末試料を強酸溶解・熱水抽出=アルカリ金属(Na、K)の場合
  • コア試料を高圧脱水し細孔溶液を抽出=水酸化物イオン(OH)の場合
  • 強酸溶解…微粉末試料を過塩素酸で溶解
  • 熱水抽出…微粉末試料を煮沸
  • 高圧脱水…コア試料を密封容器内で加圧

いずれも水溶液サンプルとしてアルカリを抽出し、アルカリ金属(Na、K)は原子吸光光度計・ICPで、水酸化物イオン(OH)は、塩酸滴定によって分析を行います。

硬化コンクリート中の含有量を求めるためには、試料を絶乾状態にして求めた含水量と分析結果(アルカリ濃度)から、コア全体の含有量を換算し、コア質量に対する百分率として求めます。

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