コンクリート配合計画書を読み解く完全ガイド|2024年JIS改正対応・プロが教える「失敗しない」チェック術

配合

配合計画書?をもらったんだけれど、何を見たら良いのやら、、、
どこを見て判断したら良いのかなぁ

「現場に配合計画書が届いたけれど、どこを重点的にチェックすればいいのか?」「JIS改正で何が変わったのか?」 そんな疑問を抱えていませんか。

コンクリート配合計画書は、いわばコンクリートの「設計図」であり「レシピ」です。これを正しく読み解くことは、構造物の品質と耐久性を守る技術者の第一歩となります。 特に2024年3月に改正された「JIS A 5308」により、従来の常識が変わっている部分もあります。

本記事では、コンクリート技術者が、実務で役立つ「配合計画書の読み方・書き方」と、最新のJIS改正に伴う注意点を徹底的に解説します。

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1. 配合計画書とは?その重要性と提出のルール

配合計画書
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配合計画書とは、使用する材料の種類や物性、それらをどのような割合で混ぜ合わせるか(配合)を記載した書類です。

そのコンクリートが「設計通りの性能を発揮するか」を証明する「品質保証書」であり「製造レシピ」です。

提出タイミングの厳守

JIS規格では、「コンクリートの納入に先立って購入者に提出すること」と定められています。打設当日に初めて見るのではなく、必ず事前に提出を受け、設計図書との整合性を確認しなければなりません。

【NEW】2024年改正:電子化の解禁

今回の改正で、配合計画書や納入書の提出は「紙媒体に限定しない」ことが明確化されました。PDF等のデジタルデータによる提供が正式に認められ、現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速しています。


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2. 【最重要】2024年JIS改正に伴う「様式と運用」の変更点

2024年(令和6年)のJIS A 5308改正は、カーボンニュートラルへの対応と生産性向上がテーマです。配合計画書において確認すべき変更点は以下の通りです。

項目改正前の内容2024年改正後の変更点
スランプ区分10cmが選択可能だった普通コンクリートのスランプ10cmを廃止(12cmへ集約)
提出形式原則として紙媒体電磁的記録(PDF等)を公式に許容
舗装強度試験曲げ強度が必須協議により圧縮強度を選択可能に追加
様式の文言認印またはサイン署名または記名に変更
水の種類呼び強度による制限あり普通コンクリートの練混ぜ水は生産者の責任で選択可能

特に「スランプ10cmの廃止」は重要です。古い設計図書で「10cm」と指定されている場合、そのまま発注するとJISマーク品として納入できないため、事前の協議が必要です。


3. 配合計画書の構成とチェックすべき5つの主要項目

配合計画書は全国共通の書式で構成されています。実務で特に注意すべきポイントを絞って解説します。

① 事務的記載事項(作成者・提出先)

作成日と提出先を確認します。前述の通り、打設日より前に承認を終えている必要があります。

② 配合の適用期間と打設箇所

計画書に記載された配合の「有効期間(日付)」が記載されています。配合計画は、気温に応じて変化するため、事前に日付を確認する必要があります。

③ コンクリートの「呼び方」

コンクリートの品質を定義する項目です。

  • 種類: 普通、軽量、舗装、高強度
  • 呼び強度: 18〜60N/㎟
  • スランプ: 普通コン:8〜21cm(※普通コンクリートは10cmが削除されました)
  • 粗骨材の最大寸法: 20㎜, 25㎜, 40㎜
  • セメントの種類: N(普通)、BB(高炉B種)など

④ 指定事項(必須・任意)

購入者が、生コン工場にコンクリートの製造条件を伝える項目です。

  • 必須事項: セメントの種類、骨材の種類、骨材の最大寸法、アルカリシリカ反応(ASR)抑制対策の4項目。
  • 任意事項: 2024年改正により、任意事項の欄に「舗装コンクリートの強度試験方法(曲げor圧縮)」や「水結合材比( W/B )」が追加されています。

⑤ 配合表(材料単位量)

コンクリート1 ㎥ あたりの各材料の質量(単位量)が示されます。ここでプロとして見るべきは「水セメント比( W/C )」と「細骨材率( s/a )」です。


4. プロの視点:配合計算の意味と数式の読み解き

配合計画書の中核となる数値の意味を理解しましょう。

水セメント比( W/C )

コンクリートの強度と耐久性を決定する最も重要な指標です。

$$W/C = \frac{\text{単位水量 (kg)}}{\text{単位セメント量 (kg)}} \times 100 (\%)$$

一般的にW/Cが小さいほど強度が高く、耐久性に優れますが、施工性は低下します。

細骨材率( s/a )

骨材全体の中に占める砂(細骨材)の割合です。

$$s/a = \frac{\text{細骨材の絶対容積}}{\text{全骨材の絶対容積}} \times 100 (\%)$$

s/aが適切でないと、材料分離が起きやすくなったり、ポンプの圧送性が悪化したりします。


5. 現場監督のための「実務チェックリスト」

配合計画書を手に取ったら、以下の手順で確認を行ってください。

  1. 設計図書との照合: 呼び強度、スランプ、セメントの種類が設計通りか?
  2. S値(補正値)の確認: 打設予定日に対し、適切な強度補正がなされているか?
  3. JIS改正の反映: スランプ10cmの指定になっていないか?
  4. 材料の産地: 骨材のアルカリシリカ反応性区分が「A」または抑制対策がなされているか?
  5. 単位水量の確認: 配合上の単位水量が、指定値をクリアしているか?

6. まとめ:配合計画書は「品質への誓約書」

配合計画書は単なる書類ではなく、工場が「この品質で納入します」と約束する誓約書です。

2024年のJIS改正により、脱炭素に向けたスラッジ水の使用上限緩和(6%まで)や、電子納入などの新しいルールがスタートしました。

これらの変更点を正しく理解し、配合計画書を隅々までチェックすることで、現場のトラブルを未然に防ぎ、最高品質のコンクリート構造物を造り上げましょう。

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