コンクリートの配合計画書とは?見方や書き方、意味について

配合

配合計画書?をもらったんだけれど、何を見たら良いのやら、、、
どこを見て判断したら良いのかなぁ

配合計画書とは、コンクリートを作る上での設計書の事をいいます。生コンを作る材料の名称や使用割合、使用する箇所やその時期など、多くの情報が記載された書類になります。

配合計画書の正しい見方を知ることで、単にコンクリートの情報だけでなく、構造物の設計内容まで読み取れるようなたくさんの情報が詰まった書類です。

この記事では、配合計画書の見方や書き方、計画書に書かれている数字や用語の意味について解説します。

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用語の解説

用語
  • 配合の適用期間
    配合が使用できる期間(使用する配合の、補正値と配合修正の期間)
  • 呼び方
    コンクリートの種類や強度・スランプなどを個別にした区分
  • 指定事項
    呼び方以外に、個別に要求したい項目
  • 配合表
    コンクリートの各材料ごとの使用量、単位量とも呼ばれる
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配合計画書には何が書かれているのか?

冒頭で、配合計画書とは設計書だ、とお話しました。コンクリートのレシピだと思って良いでしょう。

その中身をざっと並べてみます。

  1. 配合計画書の作成者や作成日、提出先などの事務的な記載事項
  2. その配合の適用期間や使用箇所
  3. コンクリートの呼び方
  4. 配合に対する指定事項
  5. 使用材料の名称と物性値
  6. 配合表
  7. その他の特記事項

配合計画書の書式はJIS(日本工業規格日本産業規格)で決められているため、全国どこでも同じ書式で書かれています。

配合計画書
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これから個々の記載内容の意味や読み方について、もう少し詳しく解説してみます。

配合計画書の中身とそのポイントについて

配合計画書の作成者や作成日、提出先などの事務的な記載事項

これは、一般的な記載事項ですね。
書類を提出する相手先や書類の担当者や日付などの一般常識的な部分です。

ここで、注意すべきは日付です。
JISでは「コンクリートの納入に先立って配合計画書を購入者に提出すること」となっているため、コンクリート打設日以前に提出しその内容を確認する事が重要です。

その配合の適用期間や使用箇所

配合計画書に記載されている配合を使用する期間、が書かれています。
具体的には、4月15日〜6月19日といった書き方になります。

この期間の決め方は、構造体強度補正値(S値)と配合修正の期間が重なった時期が書かれています。

構造体強度補正値は、セメントの種類・呼び強度を保証する材齢・予想平均気温をもとに決めますが、
配合修正の期間は、コンクリート温度の予測をもとにコンクリートの製造者が独自に定めるものです。

記載されている期間以外の日に、そのコンクリートを使用すると、コンクリートの品質を保証出来ない場合があるため、適用期間は必ず守る必要があります。

コンクリートの呼び方

呼び方とは、様々な種類のコンクリートに、固有名詞を与える役割をもっています。

呼び方の組み合せ
  • コンクリートの種類
    普通、軽量、舗装、高強度
  • 呼び強度
    18~60(これ以上は個別に定めます)+曲げ4.5
  • スランプ又はスランプフロー
    5~21、50~65+舗装(2.5、6.5)
  • 粗骨材の最大寸法
    15、20、25~80
  • セメントの種類
    N、BB、H、M、Lなど

普通 27-18-20Nと呼べば、「普通コンクリートで、強度が27N/mm2を保証した、目標スランプ18cmで、粗骨材の最大寸法が20mmの、普通ポルトランドセメントを使用した」コンクリート、とすぐにコンクリートの概略が分かるものです。

呼び方とは、コンクリートのメニューといった覚え方でよいでしょう。

配合に対する指定事項

指定事項とは、呼び方以外の項目で、コンクリートの品質や使用材料に対して、条件がある場合の記載項目です。

指定事項には、購入者が必ず指定しなければならない必須事項と、指定してもしなくとも良い任意事項の2種類があります。

例えば、ラーメン屋さんにいって、醤油か味噌か、つけめんかなどは必ず注文しなけれなりませんね?それが、必須事項です。

さらに、麺の硬さや味の濃さなどお好みで注文する事は、してもしなくても良い任意事項となります。

必須事項は4項目あります。

  • セメントの種類
  • 骨材の種類
  • 骨材の最大寸法
  • アルカリシリカ反応抑制の対策方法

この必須事項は、必ず指定をしないとコンクリートの注文が通りません。

任意事項は様々な項目があります。
すべてを紹介すると数が多いので、代表的かつ重要な項目を、カテゴリー分けをして解説します。

  • 使用材料に対する事項
    骨材のアルカリシリカ反応性による区分
    水の区分
    混和材料の種類及び使用量
  • 配合設計に対する事項
    呼び強度を保証する材齢
    空気量
  • 配合計画に対する事項
    水セメント比の目標値の上限
    単位水量の目標値の上限
    単位セメント量の目標値の下限又は目標値の上限

使用材料に対する事項

骨材のアルカリシリカ反応とは、「コンクリート内の水酸化アルカリと、骨材内のアルカリ反応性鉱物の化学反応」の事を言い、この反応性が高いと「コンクリートの内部からひび割れを起こしてしまう現象」を言います。

水の区分とは、コンクリートの練混ぜ水を選ぶ事です。水の種類は、上水道水・上水道水以外の水・回収水の3種類に分けられます。

混和材料の種類及び使用量とは、通常のコンクリートにプラスして特別に性能を加えたい時に使用します。
よく使われるのが、膨張材防水材といった混和材です。

似た言葉に混和剤というものがありますが、混和材と混和剤の分け方は、

  • 混和材
    使用量が多く、配合計算時にその容積を考慮するもの。主に粉体。
  • 混和剤
    使用量が少なく、配合計算時のその容積を考慮しないもの。主に液体。

ネットの記事でよく間違えていられる方が多いですが、AE剤やAE減水剤などは、混和剤の方ですので、間違えのないよう。

配合設計に対する事項

呼び強度を保証する材齢とは、配合計画書に記載されているコンクリートの、強度を保証する日数の事。
材齢28日と記載があれば、28日後までにしていされた強度が出ることを保証しますということです。
通常、材齢28日であることが多いですが、7日や56日といった日数も要求されることがあります。

空気量とは、JISでは「普通コンクリート4.5±1.5」、「軽量コンクリート5.0±1.5」ですが、使用部材や条件によっては、それより少なくする場合(例えば高強度)や、多くする場合(特に凍結融解に対する抵抗性が必要)もあります。

配合計画に対する事項

これは、耐久性や施工性などを考慮した場合に指定されやすい項目です。強度以外に、耐久性の観点から水セメント比や単位水量に上限値を設定します。
ここで、単位セメント量だけは、下限・上限の両方があることに着目してください。セメントはたくさん使うほうが良さそうなイメージがあるかと思います。が、マスコンなどの場合、セメント量が多すぎるため、ひび割れが入ることがあるので、上限値を設定する事があります。

使用材料の名称と物性値

コンクリート材料の生産者や産地と、物性値が書かれています。
指定事項で指定した材料であるかを確認します。ここでは、砂の種類と産地をよく確認する必要があります。

砂の種類が海砂であった場合には、コンクリートの塩化物含有量に注意する必要があります。

配合表

コンクリートを作る時の単位量や水セメント比、細骨材率などが書かれています。
指定事項で指定した条件をクリアしているかを確認します。

その他の特記事項

配合表の下の欄、備考欄には、配合計画の根拠などが書かれる事が多いです。

設計基準強度の値や構造体強度補正値の値、水セメント比と設計基準強度のどちらを優先したのか、など配合計画の背景について書かれています。

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