骨材の単位容積質量・実積率とは?粒形判定実積率との違い

材料

粗骨材の単位容積質量と実積率は、コンクリートの配合設計や品質管理において重要な指標です。また、実積率とよく似た用語に粒形判定実積率と呼ばれるものがあります。この記事では、それぞれの定義、試験方法、特徴について説明します。

スポンサーリンク

単位容積質量とは何?(定義)

単位容積質量とは、容器に満たした骨材の絶乾質量を、容器の単位容積質量当りに換算したもの(㎏/L、t/㎥)です。これは、骨材のかさ密度とも呼ばれ、骨材の粒形、粒度、最大寸法によって変化します。

単位容積質量の値は、骨材の種類や産地によって異なりますが、一般的には以下の範囲にあります

  • 砂利:1.50~1.80 kg/L
  • 砕石:1.40~1.70 kg/L
スポンサーリンク

単位容積質量の試験方法

単位容積質量を測定する試験方法は、JIS規格に定められており、以下に主な手順を示します。

JIS規格

JIS A 1104(骨材の単位容積質量及び実積率試験方法)

骨材の単位容積質量及び実積率試験方法(JIS A 1104)
  • 1
    試料の準備

    粗骨材を気乾状態または絶乾状態にします。

  • 2
    骨材の充填

    骨材を容器(V)に3層に分けて投入し、各層ごとに突き棒で25回突き固めます。

  • 3
    表面の整形

    容器のフチ(上端)と平行になるように表面を平らにします。

  • 4
    質量の測定

    容器に詰めた試料質量(m₁)を測定します。

単位容積質量Tの計算

容器の容積(V)、試料質量(m₁)を用いて算出し、小数点第2位に四捨五入します。

m₁
単位容積質量T(㎏/L)=――――
V

手順3では、容器のふちから骨材がはみ出したりへこんだりして、容器のふちと同じ高さにすることができないのが通常です。

その場合は、ふちからはみ出した分の体積(凸部分)とへこみの体積(凹部分)が等しくなるように試料の量を調整するのがポイントです。

実積率とは何?(定義)

実積率とは、容器内に詰めた骨材の実際の体積(骨材自体の体積)が、容器全体の体積に対して占める割合を百分率で示したものです。これは「骨材」と「骨材間の空隙」の割合を表したもので、骨材の粒形や粒度、最大寸法よって変化します。

実積率の値は、骨材の種類や粒形によって異なりますが、一般的には以下の範囲にあります:

  • 砂利:60~65%
  • 砕石:55~60%

ちなみに、一般的に、「じっせき」を漢字にすると、売上「実績」などど書きますが、「じっせきりつ」は「実積」率と書きます。

  • 実績…✖
  • 実積…〇

実積率の試験方法

実積率は、単位容積質量試験の結果を基に以下の式で算出します。

実積率Gの計算

単位容積質量(T)、骨材の絶乾密度(Ds)を用いて算出し、小数点第1位に四捨五入します。※絶乾密度は、あらかじめ試験によって求めておく。

T
実積率G(%)=――――×100
Ds

単位容積質量と実積率の活用

  • 粒形の評価:
    • 骨材の物性値が同じであれば、実積率は骨材の粒形が球状に近いほど大きくなり、角ばっているほど小さくなります。
  • 配合設計への影響:
    • 単位容積質量と実積率は、コンクリートの配合設計において、骨材量(S/a) や単位水量の調整に活用されます。
  • コンクリートのワーカビリティ:
    • 実積率が大きい骨材は、モルタルの充填性が向上し、コンクリートのワーカビリティが改善されます。

実積率と粒形判定実積率の違いとは?

実積率と粒形判定実積率の違いについて、定義・目的から試験方法、計算式、そして品質管理上の活用までを説明します。

目的試験方法
実積率骨材の容積充填性を評価JIS A 1104
粒形判定実積率粒形(形状)の良否を評価JIS A 5005の7.6節

実積率と粒形判定実積率の定義と目的

実積率
  • 定義:容器に詰めたときの、骨材が占める実体積の割合(%)を示す。
  • 試験目的:コンクリートの配合設計や工程管理において、骨材の容積充填性を評価する
粒形判定実積率
  • 定義:特定の粒度だけを用いて実積率(%)を算出したもの。
  • 試験目的:骨材の粒形(形状)の良否を定量評価する

実積率は、骨材の粗粒率によって値が変動するため、骨材の形状を直接評価することは難しい。粒形判定実積率は、特定の粒度だけを使用して実積率を求めるため、粒度の変動の影響を受けることがなく、骨材の形状を評価することができます。

指標規格適用範囲試験頻度
実積率JIS A 1104全骨材(粒度調整なし)週1回以上の工程管理試験
粒形判定実積率JIS A 5005 7.6特定粒度に調整砕月1回以上の受入検査

試験方法の違い

実積率試験(JIS A 1104)

  1. 試料準備:代表的な骨材を縮分し、絶乾(または粗骨材は気乾)状態とする。
  2. 骨材充填:試料を3層に分け、棒突きまたはジッギングで所定回数突き固める。
  3. 表面整形・質量測定:容器表面を平らにし、質量を測定。
  4. 算出:単位容積質量と骨材の絶乾密度から実積率を計算する

粒形判定実積率試験(JIS A 5005 §7.6)

  1. 粒度調整
    • 砕石:20㎜を通過し10㎜に留まるものを24 kg・10㎜を通過し5㎜に留まるものを16 kgを混合
    • 砕砂:2.5㎜を通過し1.2㎜に留まるもの
  2. 実積率試験:以降は実積率試験と同様

粒形判定実積率の値は、同一試料で試験を行った場合、実積率試験の値と比較して2~3%程度小さくなります。

品質管理上の活用と影響

  • 粒形評価:粒度を揃えた粒形判定実積率は、粒形の良否のみを評価できるため、砕石・砕砂の鋭角度や表面粗さ指標となる。
  • 運用:実積率は日常的な配合管理に、粒形判定実積率は受入検査や原材料評価に活用される。

実積率は骨材全体の容積充填性を示し、配合設計や工程管理に必須の指標です。一方、粒形判定実積率は特定粒度に調整した試料を用い、骨材の粒形そのものを定量評価するための指標です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました