実積率は、骨材の充填性能を定量評価する指標で、粒形・配合・ワーカビリティ評価に用いる。試験方法や計算方法、粒形判定実積率との違いなど、配合設計の判断材料として活用する実務ガイドです。
この記事では、それぞれの定義、試験方法、特徴などについて説明します。
結論
実積率とは、「骨材の詰まりやすさ」を体積で評価する指標です。この数値は、単なる試験データではなく、配合設計の妥当性・単位水量・施工性・コストを左右する起点になります。
スランプや強度が基準内でも、「締め固めにくい」「分離しやすい」「水を足したくなる」と感じたら、配合以前に“骨材の実積率”を疑うべきです。
要点サマリー
- 実積率は骨材の詰まりやすさを体積で評価する指標
- JIS A 1104に基づき試験・計算される
- 実積率の値が低いと水・セメントを増やす原因になる
- 配合変更の判断起点として使うべき数値
骨材の規格値や物性について、他にも知りたい方はこの記事へ。
ぜ実積率が重要か?コンクリート品質への影響
実務では、スランプや強度が基準を満たしていても、「同じ配合なのに打設性が悪い」「ブリーディングが増えた」
といったトラブルが起きることがあります。
その原因を配合だけに求めてしまうと、本当の問題である“骨材の詰まりの悪さ”を見逃すことになります。
実積率とは何?
実積率とは、「骨材の詰まりやすさ」を体積で評価する指標です。この数値は「同じ大きさ・同じ密度の骨材でも、形や表面状態が違えば実積率は変わる」という点が重要です。
たとえば、角ばった砕石と、丸みのある砂利を同じ容器に入れた場合、見た目の質量がほぼ同じでも、内部にできる空隙の量は大きく異なります。この“空隙の多さ”を数値化したものが実積率です。
実積率は、以下のような意味を持ちます。
- 数値が高い→ 空隙が少なく、少ないモルタル量でも充填できる
- 数値が低い→ 空隙が多く、ペースト量や水量を多く必要とする
実積率と粒形の因果関係|ワーカビリティ改善の視点
実積率の良否を決める最大の要因は、骨材の粒形です。粒が丸く表面が滑らかなほど、骨材同士は隙間なく詰まりやすくなり、結果として実積率は高くなります。一方、以下のような骨材は実積率が低くなる傾向があります。
実積率が低い骨材は、同じ容積の中に空隙が多くなり、その隙間を埋めるためにモルタル量や水量が増えてしまう傾向があります。結果として、
といった連鎖的な品質低下を引き起こします。一方で、実積率が高い骨材は、少ないペースト量でも充填性が確保できるため、
という施工性と経済性の両立が可能になります。つまり、実積率は単なる試験値ではなく、
「ワーカビリティの根本原因」を示す構造的な指標なのです。
骨材の種類や役割、定義について気になる方はこちらの記事へ。
JIS A 1104に基づく実積率の計算手順と注意点
JIS A 1104では、一定容積の容器に骨材を詰め、その質量と密度から“絶対容積”を算出します。この試験の目的は、骨材の粒形や角張り、表面粗さによって生じる空隙の多さを数値で可視化すること。
現場では「密度が同じなら同じ骨材」と誤解されがちですが、実際には粒形が悪いほど空隙が増え、同じ密度でも実積率は低下します。つまりこの試験は、
見た目の判断=定性評価を、数値の判断=定量評価へと変える指標なのです。
単位容積質量の試験方法
- 1試料の準備
粗骨材を気乾状態または絶乾状態にします。
- 2骨材の充填
骨材を容器(V)に3層に分けて投入し、各層ごとに突き棒で25回突き固めます。
- 3表面の整形
容器のフチ(上端)と平行になるように表面を平らにします。
- 4質量の測定
容器に詰めた試料質量(m₁)を測定します。

容器の容積(V)、試料質量(m₁)を用いて算出し、小数点第2位に四捨五入します。
| m₁ | |
| 単位容積質量T(㎏/L)= | ―――― |
| V |
単位容積質量(T)、骨材の絶乾密度(Ds)を用いて算出し、小数点第1位に四捨五入します。※絶乾密度は、あらかじめ試験によって求めておく。
| T | ||
| 実積率G(%)= | ―――― | ×100 |
| Ds |
実積率と粒形判定実積率の違いとは?
実積率と粒形判定実積率の違いについて、定義・目的から試験方法、計算式、そして品質管理上の活用までを説明します。
| 目的 | 試験方法 | |
| 実積率 | 骨材の充填性を評価 | JIS A 1104 |
| 粒形判定実積率 | 粒形(形状)の良否を評価 | JIS A 5005 |
- 定義:容器に詰めたときの、骨材が占める実体積の割合(%)を示す。
- 試験目的:コンクリートの配合設計や工程管理において、骨材の充填性を評価する
- 定義:特定の粒度だけを用いて実積率(%)を算出したもの。
- 試験目的:骨材の粒形(形状)の良否を定量評価する
実積率は、骨材の粗粒率によって値が変動するため、骨材の形状を直接評価することは難しい。粒形判定実積率は、特定の粒度だけを使用して実積率を求めるため、粒度の変動の影響を受けることがなく、骨材の形状を評価することができます。
| 指標 | 規格 | 適用範囲 | 試験頻度 |
| 実積率 | JIS A 1104 | 全骨材(粒度調整なし) | 週1回以上の工程管理試験 |
| 粒形判定実積率 | JIS A 5005 | 特定粒度に調整 | 砕月1回以上の受入検査 |
試験方法の違い
実積率試験(JIS A 1104)
- 試料準備:代表的な骨材を縮分し、絶乾(または粗骨材は気乾)状態とする。
- 骨材充填:試料を3層に分け、棒突きまたはジッギングで所定回数突き固める。
- 表面整形・質量測定:容器表面を平らにし、質量を測定。
- 算出:単位容積質量と骨材の絶乾密度から実積率を計算する
粒形判定実積率試験(JIS A 5005)
- 粒度調整:
- 砕石:20㎜を通過し10㎜に留まるものを24 kg・10㎜を通過し5㎜に留まるものを16 kgを混合
- 砕砂:2.5㎜を通過し1.2㎜に留まるもの
- 実積率試験:以降は実積率試験と同様
粒形判定実積率の値は、同一試料で試験を行った場合、実積率試験の値と比較して2~3%程度小さくなります。
品質管理上の活用と影響
- 粒形評価:粒度を揃えた粒形判定実積率は、粒形の良否のみを評価できるため、砕石・砕砂の鋭角度や表面粗さ指標となる。
- 運用:実積率は日常的な配合管理に、粒形判定実積率は受入検査や原材料評価に活用される。
実積率は骨材全体の容積充填性を示し、配合設計や工程管理に必須の指標です。一方、粒形判定実積率は特定粒度に調整した試料を用い、骨材の粒形そのものを定量評価するための指標です。
現場での失敗事例
骨材ロット変更後、実積率低下を見逃した。スランプが低下したため単位水量を調整。結果、強度不足→再打設。実積率を確認していれば防げた事例です。
実務で使えるチェックリスト
- 粒形判定実積率と乖離していないか?
- 単位水量は増えていないか?
- 骨材ロットの変更はないか

FAQ
- Q実積率の計算式は?
- A
単位容積質量 ÷ 絶乾密度 ×100です。
- Q実積率が低いと何が起きますか?
- A
単位水量増加→耐久性低下→コスト増に繋がります。
- QJIS A1104とA5005はどちらを優先?
- A
骨材品質の変動把握はA1104、骨材品質の評価はA5005です。
- Q実積率が低い時の対策は?
- A
配合修正か骨材変更を検討します。
- Q実積率とスランプの関係は?
- A
低下すると単位水量が増える。


コメント