コンクリートの単位水量試験方法の種類

試験

コンクリートの強度・耐久性は、水セメント比(水とセメントの割合)に左右されます。
そのため水の使用量は、コンクリートにとって重要なポイントです。

コンクリートの単位水量試験とは、コンクリートが製造された際に使用された水の量を推定するために行う試験です

このページでは、コンクリートの単位水量試験の基準や種類・方法及び判定について説明します。

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単位水量とは何か?

コンクリートには、配合(調合)と呼ばれる、コンクリートのメニューのようなものがあります。

配合には、コンクリートを1㎥(1m×1m×1mのサイコロ)作る際の、各材料の使用量が決められています。

配合によって決められた、コンクリート1㎥分の水の量を、単位水量と呼びます。
単位水量試験とは、1㎥分の水の量が、配合通りかどうかを確認するための試験です。

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単位水量試験の方法

単位水量試験には、以下に示す試験方法があります。

試験方法の種類
  1. エアメータ法
  2. 高周波加熱法(電子レンジ法)
  3. 静電容量法(ケット法)
  4. 乾燥炉法
  5. 減圧式乾燥法
  6. 水中質量法
  7. 塩分濃度差法
  8. (連続式)RI法

上記試験方法の中で、一般に広く普及している試験方法について、説明します。

エアメータ法

エアメータという、コンクリートの空気量を測定する装置があります。エアメータ法は、このエアメータという装置と秤があれば試験をすることができます。
また、空気量を測定するのと同時に単位水量を測定できるため、簡単かつ手間がかからなく、一番普及している試験方法です。

測定原理

エアメータ内のコンクリートの単位容積質量を求める事で、単位水量の測定が可能。

コンクリートの単位容積質量が配合と相違している場合、配合上の単位容積質量と実測した単位容積質量の差は、水量の変動が原因となるため。

試験時の注意点

エアメータの容積はおおむね7ℓ程度。7ℓのサンプルから1㎥(1000ℓ)の値を推定するため、サンプリングの誤差に注意が必要。
また、各材料の密度・エアメータの容積・測定空気量の値が正確でないと試験誤差が生じます。

高周波加熱法(電子レンジ法)

コンクリートから粗骨材を取り除き(ウェットスクリーニング)、モルタルのみを電子レンジで加熱・乾燥する方法。エアメータ法に比べ電源や装置が必要であるが、サンプリングの影響を受けづらいため、測定値の誤差が小さい。

測定原理

モルタルを加熱・乾燥し、加熱前後の質量差から単位水量を測定する。加熱による質量減少分が、水量となるため。

試験時の注意点

ウェットスクリーニングの方法によって、モルタルの成分が変動するため、やり方を統一しておく必要があります
セメントの初期水和や、混和剤の固形分、骨材の過大・過少粒、骨材の吸水率などを、事前に測定・補正する事で精度の高い結果が得られる。

静電容量法(ケット法)

高周波加熱法と同じく、コンクリートから粗骨材を取り除いた(ウェットスクリーニング)、モルタルを使って測定する。

測定原理

物質の誘電率が水分量によって変化する事から、単位水量を測定する。静電容量の変動を水分量の変動に置き換えることで単位水量を測定する。

試験時の注意点

あらかじめ静電容量と水分量の関係式を求める必要があり、材料の密度・吸水率などのデータが必要となります。

(連続式)RI法

最後に、これから普及するであろう試験方法について説明します。
ICT・i-Construction政策の推進を受けて、これから広まる可能性のある試験方法。

測定原理は、中性子がコンクリート中の水素原子との衝突によって減衰する性質を利用して、中性子の減衰割合から単位水量を推定します。
コンクリートポンプ車の配管に取り付ける事で、打込む生コンの全量を連続測定することが可能で、リアルタイムで測定データを確認する事が出来ます。

単位水量の基準・許容値は?

JIS A 5308レディーミクストコンクリートでは、単位水量の基準値や試験方法はありませんが、単位水量を管理する事は必要となっています。

各仕様書については、

  • JASS5・営繕…単位水量は185kg/㎥以下
  • 標準示方書…単位水量は175kg/㎥以下

と規定されていますが、バラつきの許容値については明確な規定がありません。
また、仕様書における基準は配合上の目標値であり、実測した試験結果の規定ではないという事。

単位水量試験の管理基準として、国土交通省が管理基準を規定しています。

  • 配合設計±15kg/㎥以内を合格
  • 配合設計±20kg/㎥以内をグレーゾーン
  • 配合設計±20kg/㎥を超える場合は不合格

としていて、グレーゾーンの場合は、変動の原因を調査し改善を確認するまで、測定をするとされています。

単位水量の変動がもたらす影響

一般に単位水量が増えることの影響に、強度の低下乾燥収縮の増加、ブリーディングが増える事による透水性の増加・沈みひび割れの誘発、材料分離抵抗性の低下などが挙げられます。

一方、単位水量が少なすぎても、適正なワーカビリティが得られず、充填不足が生じやすくなり初期欠陥を誘発させやすくなります。

まとめ

コンクリートには、配合と呼ばれる1㎥当りの材料の使用量がある。

単位水量とは、配合で決められた水の使用量の事。

単位水量試験とは、規定通りの水の量でコンクリートが製造されたかを確認する試験。

単位水量試験の方法にはいくつかの種類がある。

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