コンクリートに用いられるセメントには様々な種類があり、性能や用途に応じて使い分けられています。
業界に入ったばかりの人や、ただいま勉強中の人にとっては、馴染みが薄く分かりづらいものかと思います。
このページでは、各種セメントの特徴や性能、用途についての概略を説明するとともに、ポイントについて説明します。何となくでも、種類別の特徴と記号さえ覚えておくだけで、実務では役立つこともあると思います。
セメントの種類・分類について
各種セメントを大別すると以下のようになります。
さらに細分化していくと、分類としては以下のように。
- ポルトランドセメント
- 普通ポルトランドセメント
- 早強ポルトランドセメント
- 超早強ポルトランドセメント
- 中庸熱ポルトランドセメント
- 低熱ポルトランドセメント
- 耐硫酸塩ポルトランドセメント
- 混合セメント
- 高炉セメント
- フライアッシュセメント
- シリカセメント
- エコセメント
- 普通エコセメント
- 速硬エコセメント
- その他の特殊セメント
- 超速硬セメント
- 白色ポルトランドセメント
- コロイドセメント
- その他のセメント
これらのセメントのうち、JISで規定されているのは以下の通りです。
- ポルトランドセメント(JIS R 5210)
- 高炉セメント(JIS R 5211)
- シリカセメント(JIS R 5212)
- フライアッシュセメント(JIS R 5213)
- エコセメント(JIS R 5214)
特殊セメントに関しては、用途の限定性と使用頻度の少なさからJISに規定はされていません。
各セメントのJIS規格の内容について気になる方はこちらの記事をどうぞ。
各種セメントの特徴や性能と記号
セメントごとの特徴や性能のポイントを簡単に説明します。
1.ポルトランドセメント
セメントの主成分は4種類です。ポルトランドセメントはその4種類の割合を変えることで特徴を分けています。
普通ポルトランドセメント(N)
一番多く製造量の多いセメントで、一般的な用途で広く使われているセメント。強度発現・水和熱・化学抵抗性など、平均的な特徴のセメント。
早強ポルトランドセメント(H)・超早強ポルトランドセメント(UH)
早い時期から強度の出るセメント。早期強度の発現性に優れているため、緊急工事や寒冷地での工事に使用される。
中庸熱ポルトランドセメント(M)・低熱ポルトランドセメント(L)
水和熱が中・低度のセメント。セメントが化学反応する際の水和熱を、小さくするためのセメント。マスコンクリートや、高強度コンクリートに使用される。
耐硫酸塩ポルトランドセメント(SR)
硫酸塩に対する抵抗性が強いセメント。セメントの成分の中には、硫酸塩と反応して異常膨張を起こすものがあり、その成分を抑えたセメント。海洋工事や温泉地域などで使用される。
2.混合セメント
ポルトランドセメントに混合材を混ぜたもので、混合材の分量によってA種・B種・C種の3種類に分けられています。
共通する特徴として、科学抵抗性が大きい、初期強度が低い、長期強度の伸びが大きい。
高炉セメント(A種・B種・C種)(BA・BB・BC)
高炉スラグ微粉末を混ぜたセメント。高炉スラグの潜在水硬性により、徐々に硬化する。
シリカセメント(A種・B種・C種)(SA・SB・SC)
シリカ質混合材を混ぜたセメント。マイクロフィラー効果により、硬化体を緻密にする。
フライアッシュセメント(A種・B種・C種)(FA・FB・FC)
フライアッシュを混ぜたセメント。ボールベアリング作用により、ワーカビリティなどを改善する。
3.エコセメント
廃棄物の焼却灰を主原料としたセメント。セメント1t当り500kg以上使用している。
普通エコセメント(E)
普通ポルトランドセメントと同じような特徴をもつように作られたセメント
速硬エコセメント
普通エコセメントよりも、速硬性のあるセメント。
4.その他の特殊セメント
超速硬セメント
超早強ポルトランドセメントよりも、更に硬化の早いセメント。
白色ポルトランドセメント
酸化鉄の含有量を抑えたセメントで、色が白いセメント
コロイドセメント
注入用のセメント、ポルトランドセメントをさらに細かく粉砕して作られるセメント。
その他のセメント
二成分・三成分系セメント…セメントと混合材を複数混合したセメント。
超高強度用セメント…中庸熱・低熱セメントにシリカフュームを混合したセメント。
まとめ
ポルトランドセメントか混合セメントかどうかに分けられます。
ポルトランドセメントは、名前にその特性が付いているため直観的に理解がしやすい。
混合セメントは、混合材の種類が名前となっています。混合セメントは、科学抵抗性が大きく、初期強度が低く、長期強度の伸びが大きい、という共通点があります。
馴染みがなく種類も多いため覚えづらいのが、セメントの種類です。実務上扱うことの多いポルトランドセメントと混合セメントの記号だけでも覚えておくと、役立つのではないかと思います。
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