コンクリートってモルタルと何が違うのかしら?
コンクリートもモルタルも、セメントだよね?!
当たり前のように身近にあるコンクリート・・・実はよく知らないこと人が多いですよね?
ネットでも、モルタルとコンクリートの違いを様々な記事が説明していますが、わかりづらかったり、間違えていたりする記事も多いです。
結論からお話しすると、モルタルとコンクリートの違いは、砂利が入っているかいないかだけ!
でも、これだけでは理解できないですよね?
この記事では、コンクリートとモルタルって、
- 何でできているのか?
- 作るにはどうするのか?
- 硬いのはどっち?
などを、どこよりもわかりやすく説明していきます。
そもそもコンクリートという言葉は何か
コンクリートという言葉の意味は、大小の粒同士が互いにくっついた状態で固まったものを指します。
日頃、私たちがコンクリートと呼んでいるもの(ビルや橋)は、正しくはセメントコンクリートと呼びます。
コンクリートには他にも、アスファルトコンクリート・ポリマーコンクリート・レジンコンクリートなどがあります。
モルタルとコンクリートは何から出来ているのか
さて、コンクリートというのは、「大小の粒同士が互いにくっついた状態で固まったもの」だという事はわかりました。では、大小の粒とは何なのかをこれから説明していきます。
セメント
一番小さな粒が、セメントです。
粒の大きさは、平均で0.01mm程度の微粉末状のもの。
砂
中間の粒が、砂です。
粒の大きさが、5mm以下のもの。コンクリートの分野では細骨材と言います。
砂利
一番大きな粒が、砂利です。
粒の大きさが、5mmより大きいもの。コンクリートの分野では粗骨材と言います。
セメントと砂と砂利が、コンクリートの材料となります。
モルタルとコンクリートの作り方
ここまでで、コンクリートというのは「セメント(小さな粒)+砂(中間の粒)+砂利(大きな粒)がくっついて固まったもの」だという事はわかりました。
では、その粒同士をどうやってくっつけるのか?
そう、水を加えて練り混ぜるのです。
セメントには、水と化学反応を起こして硬くなるという性質があります。セメントと砂と砂利を混ぜても固まりませんが、そこに水を加える。
それによって、セメントの化学反応によって固まり、コンクリートになります。ここで、冒頭に書いた「モルタルとコンクリートの違いは、砂利が入っているかいないかだけ!」の答えが出てきます。
- モルタルは、砂を、セメントと水で練り混ぜたもの
- コンクリートは、砂+砂利を、セメントと水で練り混ぜたたもの
身近なもので例えると、天ぷらとかき揚げの違いを思い出してください。どちらも水で溶いたてんぷら粉をつけて揚げる料理ですが、
天ぷらは1つの具材ごとにあげるのに対し、かき揚げは色々な具材をひとかたまりにして揚げますよね。
モルタルもコンクリートも、水とセメントで練り混ぜたものですが、
- モルタルは砂だけを混ぜたもの(具材が1つの天ぷら)
- コンクリートは砂と砂利を混ぜたもの(色々な具材のかき揚げ)
ちなみに、てんぷら粉のみを揚げたものは天カスですが、セメントを水で練り混ぜただけのものは、セメントペーストと言います。
モルタルとコンクリートってどっちが強いの?
記事の初めに、「ネットでも、モルタルとコンクリートの違いを様々な記事が説明していますが、わかりづらかったり、間違えていたりする記事も多いです。」と書きましたが、モルタルとコンクリートの強度については、多くの記事で間違いが書かれています。
モルタルとコンクリートの作り方で出てきた、「セメントペースト、モルタル、コンクリート」の3つを強度の強い順に並べると、
- 強い・・・セメントペースト
- 中間・・・モルタル
- 弱い・・・コンクリート
となります。
コンクリートとは、セメントペーストを接着剤として、砂と砂利を固めたものでしたね。つまり、コンクリートの強度は、セメントペーストの接着力で決まるという事になります。
セメントペーストの強さが同じだった場合、砂よりも砂利の方が接着が弱くなります。そのため、コンクリートの強度が一番弱くなります。
ではなぜ、モルタルとコンクリートの強度について、誤解が多いのか?その答えを次に説明したいと思います。
モルタルとコンクリートの特徴
コンクリートは、壁や床など建物の骨組みを作るのに使われています。モルタルは、つなぎ目、下地材、仕上げ材として使われる事が一般的です。
この事が、モルタルとコンクリートの強度について、誤解を生んでいます。「モルタルは、コンクリートより強度が高い」と説明しましたね。
ではなぜ、モルタルで家を建てたりビルを作らないのか・・・それには、接着剤として使用されるセメントの特徴に理由があります。
セメントの特徴
- 化学反応によって、多量の熱が発生する(発熱する)
- 固まる段階で、縮む(収縮する)
- コンクリートの材料の中で、単価が高い
建物にとって一番困るのは、ヒビが入ること。
発熱する、収縮するというのは、建物にヒビが入る原因です。それを防ぐには、なるべくセメントの量を減らさねばなりません。
さらに言うと、セメント・砂・砂利の中で、もっとも高価な材料がセメントです。できるなら、量を減らした方が経済的です。
ここで、モルタルとコンクリートを作る際に必要なセメントの量を、比較します。
比較のために、作る量とセメントペースト(接着剤)の強さを同じと、仮定します。すると、コンクリートより約1.5倍ほど、モルタルの方がセメントを多く使います。
そろそろ答えにたどり着きそうです。ここで、モルタルとコンクリートの特徴をまとめてみます。
モルタルの特徴
- セメント+砂で出来ている
- 小さな粒同士を固めたもの
- コンクリートより強度が強い
- コンクリートより多くのセメントを使う
- セメントが多い=ひび割れしやすい
- セメントが多い=値段が高い
コンクリートの特徴
- セメント+砂+砂利で出来ている
- 大小の粒を固めたもの
- モルタルより強度が弱い
- モルタルより少ないセメントでつくれる
- セメントが少ない=ひび割れしにくい
- セメントが少ない=値段が安い
モルタルはコンクリートよりも、多くのセメントが必要です。それはつまり、ひび割れしやすく、値段も高い。
このセメント量の差が、モルタルで建物をつくらない理由なのです。コンクリートは砂利を混ぜる事で、モルタルよりもセメントを減らす事ができます。
モルタルは、固まる段階でヒビが入りやすいので、大きなものを作るのには向きません。コンクリートは、簡単に固めることができるので、大きなものをつくるのに向いています。
モルタルは砂利が入っていないため、小さな隙間を埋めたり、下地材の接着剤として向いています。
コンクリートには砂利が入っているため、砂利が入らないような小さな隙間や下地材の接着剤としては向きません。
さらに、建物を作るにはたくさんの量が必要なため、価格の安いコンクリートの方が、経済的なメリットもあります。どちらも、建設資材として使われますが、
- コンクリート = 建物本体(構造体)
- モルタル = 下地材・仕上げ材・補修材(接着剤)
という、役割分担になるのです。
まとめ
- コンクリートとは、セメントで砂と砂利を固めたもの。
- モルタルとコンクリートの見分け方は、砂利が入っているか、いないかだけ。
- モルタルとコンクリートでは、モルタルの方が強度が高い。
- モルタルはヒビ割れせずに固めるのが難しいが、コンクリートは簡単。
- コンクリートは、価格が安い。
コメント