コンクリートの種類と特徴・用途をまとめてみました

コンクリート講座

コンクリート には、用途や目的に応じて、さまざまな種類があります。

この記事では、2019年時点でのコンクリートを網羅して、ご紹介します。

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コンクリートの種類とは

日本には、JIS(日本工業規格)という工業製品に関する国家規格があります。

2019年7月に「工業標準化法」から「産業標準化法」に変わり、JIS(日本工業規格)もJIS(日本産業規格)に変わりました

そのひとつに、「JIS A 5308 レディーミクストコンクリート」というコンクリートの規格があります。その規格で定められているコンクリートの種類は次の4種類です。

  • 普通コンクリート
  • 軽量コンクリート
  • 舗装コンクリート
  • 高強度コンクリート

ネットには色々な種類のコンクリートを紹介する記事もありますが、コンクリートの種類の原則は上記の4つ。
そして、もうひとつ大事な種類があります。

・大臣認定コンクリート

建築基準法には、指定建築材料という規定があります。建物の構造上、重要な材料について規定したもので、コンクリートも指定建築材料のひとつです。

指定建築材料の品質は、

  1. 日本工業規格(JIS)又は日本農林規格(JAS)に適合するもの
  2. 国土交通大臣の認定を受けたもの

と定められており、「大臣認定コンクリート」とは、2.に該当するもの。
以上、JISの4種類+大臣認定コンクリートの5つが、コンクリートの種類になります。

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コンクリートの種類ではなく、コンクリートの用途や使い分け

これから説明するコンクリートは、コンクリートの種類そのものというより、用途や目的、環境・施工条件などで区別・分類されているコンクリートです。数多く出てきますが、グループ分けして分かりやすく並べてみます。

環境や気象条件による分類

コンクリートが、特に季節や環境の作用によって影響を受けるもののまとめ。

  1. 寒中コンクリート
  2. 暑中コンクリート
  3. 海水の作用を受けるコンクリート ・ 海洋コンクリート
  4. 凍結融解作用を受けるコンクリート
  • 寒中コンクリート、暑中コンクリートといった種類のコンクリートはなく、寒い時期・暑い時期に打つコンクリートについて、それぞれ扱い方を規定しているもの。
  • 海水の作用を受けるコンクリート・海洋コンクリートとは、海水に接する又は海水による塩分の影響を受けるコンクリート。
  • 凍結誘拐作用を受けるコンクリートとは、寒冷地において、凍る⇔溶けるを繰り返すコンクリート。

施工条件による分類

施工条件からコンクリートに性能を要求されるもののまとめ。

  1. 高流動コンクリート
  2. 鋼管充填コンクリート
  3. 流動化コンクリート
  4. 水中コンクリート ・水中不分離コンクリート
  5. マスコンクリート
  • 高流動コンクリートとは、高い流動性と自己充填性を備えたコンクリートのこと。一般に、材料分離抵抗性を持たせるために単位セメント量が過大となりやすく、高強度コンクリートと混同されやすいですが、必ずしも高強度であるとは限らない。
  • 鋼管充填コンクリートとは、 CFT造と呼ばれる鋼管内部にコンクリート充填させる工法に使用するもの。高い流動性と自己充填性が求められるだけでなく、ブリーディング量や沈降量の確認が必要。
  • 流動化コンクリートとは、流動化剤と呼ばれる薬剤をコンクリートに添加し撹拌することで、流動性を増大させたコンクリート。施工性の向上や品質改善のために用いられる。
  • 水中コンクリート ・水中不分離コンクリート とは、文字通り水の中もしくは液体中で打ちこむコンクリート。
  • マスコンクリートのマスとは、英語のmass(マス)「大きな物体、塊」で、部材断面が大きく、セメントの水和熱によって温度ひび割れが懸念されるコンクリートのこと。

目的による分類

通常のコンクリートに、性能寄与させる目的で使われるもののまとめ。

  1. 膨張コンクリート
  2. プレストレストコンクリート
  3. プレキャストコンクリート
  4. 連続繊維補強コンクリート ・ 短繊維補強コンクリート
  • 膨張コンクリートとは、膨張材と呼ばれる材料を加えることで、体積膨張を起こす。収縮によって発生するひび割れを、あらかじめ膨張することで低減させるコンクリート。
  • プレとは、英語のpre(プレ)「前の、事前の」で、あらかじめストレス(圧縮力)をかけるプレストレストコンクリート、あらかじめ成形されたプレキャストコンクリート。 コンクリートは工事現場で型枠に打ち込まれるものですが、これらは、工場製品としてのコンクリートがメイン。
  • 連続繊維補強コンクリート ・ 短繊維補強コンクリート とは、鉄筋の代わりにまたは併用して繊維で補強するコンクリート。 連続繊維は鉄筋の代わりとして、短繊維は鉄筋と併用して用いられる。

用途による分類

コンクリート構造物を特定の用途に用いるもののまとめ。

  1. 遮蔽用コンクリート
  2. 水密コンクリート
  3. 住宅基礎用コンクリート ・ 無筋コンクリート
  4. 吹付コンクリート
  5. プレパックドコンクリート
  • 遮蔽用コンクリートとは人体に有害なX線、ガンマ線などを遮蔽する目的で使われるコンクリート。遮蔽性能は、密度と厚さの積におおむね比例することから、一般には壁を厚くする場合が多いが、密度の大きい重量コンクリートを使うこともある。
  • 水密コンクリートとは、水槽や地下室など、水圧を受けるコンクリート。
  • 住宅基礎用コンクリート ・ 無筋コンクリートとは、一般の戸建て住宅の基礎や、鉄筋の補強が必要のない土間コンクリートや押えコンクリート。一般に軽微な建築物に用いられるコンクリートのこと。
  • 吹付コンクリートとは、トンネル内部やのり面(造成等で人工的に作った斜面)に吹き付けて使用するコンクリート。
  • プレパックドコンクリートとは、型枠内にあらかじめ粗骨材を敷き詰め、後からモルタルを流し込むコンクリート。 補修用のコンクリートなどに使われる。

その他の分類

  1. エコセメントを使用をするコンクリート
  2. 再生骨材コンクリート

エコ・再生というキーワードから分かるように、原料がゴミやリサイクル品であるコンクリート。エコセメントとは、ゴミの焼却灰を主原料に、再生骨材とは、解体したコンクリートを破砕して再生利用したもの。

  • 高強度コンクリート

強度の高いコンクリートの総称。

土木では設計基準強度が50~100N/mm2、建築では36N/mm2を超えるもの、JISでは呼び強度が45超え60までのコンクリートとなっている。

冒頭で書いた「大臣認定コンクリート」とは、一般的に高強度コンクリートをいう場合と高流動コンクリートを指す場合が多い。

JISで定められた強度より高いコンクリート、もしくは強度は低いが高い流動性を有するコンクリート。

コメント

  1. 反町百瀬 より:

    いろいろと参考になりました。

    ただ一つ気になることがありました。

    凍結融解作用が凍結誘拐作用と表記されています。

    ごめんなさい。重箱の隅をつつくようなことを言って・・・。

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