コンクリートの品質を決定する要素のひとつが、骨材の性質です。骨材はコンクリートの体積の約70%以上を占め、強度・耐久性・施工性の基盤となります。そのため、JIS A 5308(レディーミクストコンクリート用骨材規格)に基づいた選定は、単なる法令順守ではなく、現場での施工に直結します。
この記事では、数値基準の解説に加えて、現場判断に直結する実務知恵や失敗事例も交えて解説します。
骨材の種類や役割、定義について気になる方はこちらの記事へ。
要点:骨材の物理的性質と基準値
骨材の評価には、以下の項目が重要です。特に骨材粒度・粗粒率や吸水率はスランプや強度に直接影響するため、注意が必要です。
ポイント:骨材の規格を理解し、現場判断に反映することで、配合トラブルを未然に防ぐことができます。
| 項目 | 基準値(JIS A 5308) | 現場でのチェックポイント |
|---|---|---|
| 骨材粒度 | 粒度範囲以内であること | 目視や試験で確認 |
| 絶乾密度・表乾密度 | 骨材の種類ごとに設定 | 単位水量計算に反映 |
| 吸水率 | 0.5〜3%(骨材種による) | 吸水率はスランプ低下に注意 |
| 有害物含有量 | 塩化物量・粘土塊など | 鉄筋腐食や強度低下のリスク評価 |
補足:粗粒率 FM は0.2以上の変動でスランプに影響し、配合修正が必要です。
骨材のアルカリシリカ反応については、こちらの記事で詳しく説明しています。
専門解説:複数骨材混合と個別JIS規格の適合条件
コンクリートの配合では、複数の骨材を混合することが一般的です。しかし、混合骨材の物理特性がばらつくと、設計通りの性能を発揮できません。ここでは、粗粒率の計算方法やJIS規格適合の判断について詳しく解説します。
粗粒率(FM)の計算と調整
複数骨材を混合する場合は、加重平均で粗粒率を計算します。
FM混合 = Σ(FMi × 重量比i)
現場判断のポイント:
- FMが0.2を超えるとスランプに大きく影響
- 偏差が0.2を超えた場合:骨材比率を調整し、規定範囲内にする。
骨材の粗粒率の求め方
JISに規定された公称目開きのふるいを用いて、骨材をふるい分けます。その結果をもとに計算によって算出します。
| ふるいの呼び寸法(㎜) | 粗骨材 | 細骨材 | ||
| 各ふるいに留まる量の累計 | 各ふるいに留まる量の累計 | |||
| 質量(g) | % | 質量(g) | % | |
| 25 | 0 | 0 | ||
| *20 | 252 | 6 | ||
| 15 | 1565 | 37 | ||
| *10 | 3037 | 71 | 0 | 0 |
| *5 | 4189 | 98 | 32 | 6 |
| *2.5 | 4255 | 100 | 77 | 15 |
| *1.2 | 100 | 152 | 29 | |
| *0.6 | 100 | 302 | 58 | |
| *0.3 | 100 | 415 | 79 | |
| *0.15 | 100 | 493 | 94 | |
| 受け皿 | - | 525 | ||
| 質量合計(g) | 4255 | 525 | ||
| 粗粒率 | 6.75 | 2.81 | ||
粗粒率=各ふるいにとどまる量(*付きのふるいのみ)の合計/100

上のグラフは、JISで規定された粒度範囲と表の結果をプロットしたものです。点線内を試験結果が通っていれば、コンクリート用骨材として使用できることになります。一般的に細骨材で2.70±0.3程度、粗骨材で6.60±0.3程度が粗粒率(F.M.)の標準値となります。
粗粒率は、骨材の平均的な大きさを数値化したもので、数字が大きいほど粗い粒度であることが感覚的に読み取れます。一方で数字の足し算であるため、同じ粗粒率であっても粒度曲線は無数にあり、粗粒率だけで骨材の良否を決める事は難しいと言えます。
骨材の密度・吸水率
密度・吸水率は、物理的な硬さを把握するのに役立ち、絶乾密度・吸水率として規定されています。
| 砂 | 砂利 | |
| 絶乾密度(g/㎤) | 2.5以上 | 2.5以上 |
| 吸水率(%) | 3.5以下 | 3.0以下 |
| 絶乾密度Dd(g/㎤)= | 絶乾状態の質量/表乾状態の容積(内部空隙を含んだ全容積) |
| 表乾密度Ds(g/㎤)= | 表乾状態の質量/表乾状態の容積(内部空隙を含んだ全容積) |
吸水率は、表乾状態における骨材の内部空隙に含まれる水の質量から求められます。
| 吸水率(%)= | 表乾状態で骨材に含まれる水量/絶乾状態の質量 |
密度と吸水率にはある程度相関があり、密度が大きい(内部空隙が少ない)ものには吸水率が小さいことが多く、逆の場合も同様なことが多いと言えます。
骨材の表面水について知りたい方は、こちらの記事で説明しています。
JIS適合判定の判断
複数の骨材を混合する場合は、JIS A 5308だけでなく、各骨材の個別JIS(砕石ならJIS A 5005等)の両方に適合しなければなりません。JIS A 5308の基準値だけを確認したのでは間違いとなります。
- 砂利・砂…JIS A 5308の規定
- 砕石・砕砂…JIS A 5005コンクリート用砕石・砕砂の規定+ JIS A 5308の規定
実務例:ある生コン工場では、新たに砕石を使用するにあたりJIS A 5308の規定値を確認した。ところが、JIS A 5005の確認を怠ったため、必要とされる試験をせずにいた。
2024年 JIS A 5308改正による骨材の適合性判断
2024年の改正によって、同一種類の骨材を混合して使用する場合は、混合前の骨材又は混合後の骨材の品質のいずれかが規格に適合していることを確認すれば良いことになりました。
実務の知恵:現場判断と失敗事例
粗粒率の変動がスランプに与える影響
ケース1(成功):FM+0.2 → s/aを+1.0%とし、適正なスランプとした
ケース2(失敗):FM偏差-0.2 → スランプ−1.5㎝となり打設困難、クラック発生
失敗ケースでは、試験結果を配合に反映させ再計算・調整することが基本です。
海砂や特殊骨材の注意点
- 塩化物量が規定値を超えると鉄筋腐食リスクが高まります
- 吸水率の高い軽量骨材では、事前のプレウェッティングにより圧送ロスを抑える
仮想ケースで学ぶ判断
生コン工場担当者が複数骨材を混合した際、粗粒率計算を誤るとスランプ低下が起こります。 計算→試験→調整のループを必須にすることで、現場での不具合を防ぎます。
粗粒率以上に製造者が確認する事
粒形
粒形とは、骨材の形を言い、丸い・角ばっている・平べったいなど数字では表れない感覚的なものをいいます。JISに明確な規定はありませんが、コンクリートのワーカビリティーに関係するため、実務的にもっとも気にする項目です。
単位容積質量(実積率)
粒形の判断材料されるのが、単位容積質量(実積率)です。寸法や粒度曲線が同じ場合、粒形が丸いほど単位容積質量が大きくなり、ワーカビリティーが改善されます。単位容積質量の数値が大きいほど、粒形が良いと判断します。
骨材の単位容積質量について、試験方法や試験結果の見方などはこちらの記事で。
FAQ
- Q粗粒率(FM)の許容範囲は?
- A
±0.2以内
- Q混合骨材の場合、どのJIS規格を優先すべき?
- A
JIS A 5308と各骨材のJIS。どちらも適合しなければならない
- QFMが基準外になった場合の対応は?
- A
合成比率の変更もしくはs/aの補正をする。
- Q吸水率が高い骨材を使うリスクは?
- A
施工性の低下(スランプロス)と長期的な耐久性に悪影響を及ぼす。
チェックリスト
- 骨材試験成績表の確認
- 粗粒率 FM 計算 → ±0.2以内か
- 吸水率・密度を単位水量計算に反映
- 混合骨材のJIS適合判定





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