コンクリートの中性化深さの試験方法と評価方法

診断

大気による影響で、コンクリートが強アルカリ→中性へと変化することを中性化といいます。

中性化は、コンクリートの硬化組織である水酸化カルシウムが、二酸化炭素などの酸性物質と反応し、炭酸カルシウムへ変化するために起こる現象です。

中性化のことを化学反応を厳密にとらえ、炭酸化と呼ぶ場合もあります。

中性化は、コンクリート内部の鉄筋が錆びる原因となるため、コンクリート構造物にとっては好ましくない現象といえます。

コンクリート自体にとって中性化はどのような影響を与えるかというと、炭酸化によって、コンクリート内部の組織は緻密になる説が有力です。

水酸化カルシウムが炭酸カルシウムへと変化した場合、分子量と密度の差から、体積はおおむね12%増加する計算となります。増加した体積は周囲の空隙をふさぐため、空隙量が減少し強度が増加する、といった結果が多いとされています。

ですが、炭酸化によりC-S-Hの分解が進み、強度低下を招く場合もあり、空隙量の減少と強度増加に相関があるとは言えず、中性化による空隙量の減少=強度増加とは言えません。

現在の基本的な考え方として、コンクリートの中性化が鉄筋位置(かぶり厚さ)に達する時点を、構造物の寿命として設計するため、中性化の進行度を確認することが重要とされています。

中性化が起こる原因や中性化のメカニズムについては、詳しくはこちらの記事で解説しています。

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中性化深さ試験

中性化の進行具合を、中性化深さといいます。なぜ深さなのかというと、中性化はコンクリートの表面から内部へと進行していくからです。

二酸化炭素などの酸性物質がコンクリート表面から侵入し、表面のコンクリートを炭酸化します。酸性物質が次第に内部へと浸透し、中性化領域が内部方向へ進むため、コンクリート表面から内部の炭酸化された領域までの距離(深さ)を測定します。

フェノールフタレイン法

コンクリートの中性化深さを測定する方法として、フェノールフタレインの1%エタノール溶液を噴霧する方法が良く用いられています。

フェノールフタレインはアルカリ(PH10程度以上)と反応し赤紫色に変化します。そのため、着色した部分は中性化していない領域、色の変化がない部分は中性化領域と判断します。

理科の実験で習った、リトマス試験紙と同じです。色の変化によってPHを検知しています。

中性化深さ試験には、測定の方法として以下のやり方があります。

  • コア採取による方法(強度など他の試験も行う場合)
  • はつりによる方法(現場で測定する場合)
  • ドリルによる方法(広い面を測定する場合)

中性化深さの測定方法(コア法・はつり法)

コア法・はつり法
  • 測定面は自然乾燥・ドライヤーなどで乾燥させる
  • フェノールフタレイン溶液を噴霧する
  • コンクリート表面から赤紫色に着色した部分までの距離を測る
    • コアの割裂面・切断面の場合:10~15㎜間隔
    • コア側面の場合:等間隔に5ヶ所以上
    • はつり面の場合:面積に応じて等間隔に4~8ヶ所程度
  • 測定結果の算出

    測定は0.5㎜単位、平均値は、四捨五入により小数点1桁とする

測定位置に粗骨材粒子がある場合、両端を直線で繋いだ直線上を測定する。

中性化深さの測定方法(ドリル法)

ドリル法
  • ろ紙にフェノールフタレイン溶液を噴霧し吸水させ、試験紙とする
  • 測定対象にドリルを垂直にあて、削孔(穴を開ける)する
  • 削孔によって落ちてきた粉を、試験紙で受ける
  • 試験紙によって粉が変色したとき、すぐに削孔を停止

    1ヶ所につき、3個の削孔から中性化深さを測定(平均値との偏差が30%を超えた場合、新たに削孔する)

  • ラベル
    測定結果の算出

    測定は0.1㎜単位、平均値は、四捨五入により小数点1桁とする

中性化深さ試験は破壊試験のため、構造耐力上問題となったり、補修の観点あるいは心理的観点から、試験数を多くすることが難しい試験方法です。

ドリル法の場合、試験による破壊が軽微であることから、コア採取やはつり箇所を決定するための前診断としてや、壁面全体を調査するといった広い領域を調査する場合に適しています。

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測定による中性化深さの評価方法

中性化による構造物への影響は内部鉄筋の腐食なので、かぶり厚さとの比較を行い、かぶり厚さより中性化深さが大きければ、内部鉄筋の腐食が開始していること可能性を示唆しています。

中性化の進行度合いは、経過年数の平方根(√)に比例すると言われていて、次の式に表せます。

C=A√t

  • C=中性化深さ
  • A=中性化速度係数
  • t=経過年数(構造物の年齢)

中性化速度係数は、そのコンクリートの中性化の進行速度を表しています。

A=C/√tと式を変換し、測定した時点の経過年数と測定結果から中性化速度係数を求めれば、今後の任意の経過年数における、中性化深さの予測をすることができます。

また、中性化速度式(下式)による計算値と比較し、構造体コンクリートの中性化スピードを相対的に評価することも可能です。

t=7.2×C2/R2(4.6x-1.76)2

  • t=Cまで到達する期間(年)
  • C=中性化深さ
  • x=コンクリートの水セメント比
  • R=中性化比率

その他の調査方法

示差熱重量分析による方法

コンクリートの微粉末試料を1000℃程度まで昇温し、熱変化と重量変化から定性・定量する分析方法です。

昇温による分解反応において、水酸化カルシウム・炭酸カルシウムは吸熱硬化を示します。それぞれ400~500℃程度、600~800℃程度の温度範囲で分解反応をみせるため、その範囲での熱重量分析により、定量することができます。

X線回折装置による方法

X線マイクロアナライザによる方法

この2つは、元素や化合物の同定・定量によって炭酸化を分析する事は可能ですが、判断に専門的な知識がいるため、中性化の診断において、一般的に用いられる方法ではありません。

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