コンクリートの試験の中でも、空気量試験はとても頻度の高い試験です。ですが、空気量試験の方法には、いくつかのやり方があることはあまり知られていません
この記事では、JIS規格にある3種類の空気量試験について、試験のやり方やポイントについて解説します。
空気量の規格と用語とは
始めに用語の解説から。
空気量の規格
コンクリートの空気量は、コンクリートの種類別に JIS(日本産業規格) A 5308に規定されています。まずは、空気量の規格値と許容範囲について見てみましょう。
コンクリートの空気量を測定する3種類の試験方法
これから、コンクリートの空気量を測定する3種類の試験方法について解説します。
JIS A 1116 フレッシュコンクリートの単位容積質量試験方法及び空気量の質量による試験方法(質量方法)
この試験方法は単位容積質量から空気量を求める方法で、各材料の密度が正確であることが重要になります。
容器の中にコンクリートを詰め、その時の質量を測ります。質量(W)÷容器の容積(V)から、単位容積当たりの重さ、単位容積質量(M1)を求めます。
この単位容積質量(M1)には、コンクリートとコンクリートの内部に存在する空気の両方が含まれていることになります。
次に各材料の単位量とそれぞれの密度から、絶対容積を求めます。単位量の合計(W2)÷絶対容積の合計(V2)から、空気量が全くなかった時の単位容積質量(M2)が求められます。
M1とM2では、M1が空気量の分だけ軽くなると考えますよね。M2から何%分軽くなったかを求めるのが、質量方法の試験のやり方です。
空気量試験の方法ではありますが、実状ではこの試験方法で試験することはなく、単位容積質量を測定するための試験方法として覚えておくとよいでしょう。
JIS A 1118 フレッシュコンクリートの空気量の容積による試験方法(容積方法)
この試験方法は容積の差から空気量を求める方法で、骨材修正係数(G) が必要であることが重要になります。 試験には、ローリングエアメータと呼ばれる、容積方法用の測定器具を使います。
まずは骨材修正係数(G)を測定しますが、ここではサラッと解説します。
ローリングエアメーターに規定量の骨材を入れ、内部を水で満たします。水漏れが無いようにフタをしてゴロゴロとエアメータ―を転がすと、骨材内部の空隙に水が浸透し、水面に泡が出てきます。この分の泡は、コンクリートの空気量ではないため、コンクリートの空気量を計算する補正値として必要となります。
次に空気量の測定方法です。
ローリングエアメーターに規定量のコンクリートを詰めた後、標線まで水で満たします。その後、ゴロゴロと転がすと、水面に出てきた泡の分だけ水の容積が減っています。そこで再度、標線まで水を加えます。そして再度転がし、水を足す、転がし水を足すを、泡が出なくなるまで続けます。最終的に加えた水の合計が、コンクリートの空気量ということになります。
コンクリート内部の空気が抜けた容積分だけ、水を加えた事になるからです(この時点では、コンクリートの空気と骨材内部の空気の両方)。コンクリートの容積(内部の空気)が何%減ったかを求めるのが、容積方法のやり方です。
容積の減少のうち、骨材の空隙による減少分(骨材修正係数)を差し引いたものが、コンクリートの空気量という事になります。
普通骨材を用いた場合、骨材修正係数の測定を省略してよいとされていて、この試験方法は、多孔質の材料、例えば人工軽量骨材などを使用したコンクリートの空気量を測定する場合に適しています。
JIS A 1128 フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法-空気室圧力方法
この試験方法は圧力減少をもとに空気量を求める方法で、 測定器具のキャリブレーション(校正)が重要になります。試験にはワシントン型エアメータと呼ばれる器具を使って測定します。
容積方法と同じく骨材修正係数(G)を確認する必要がありますが、はじめに、エアメータのキャリブレーションを行います。
ワシントン型エアメータのキャリブレーション
キャリブレーションで確認するものは3項目あります。
- 容器のキャリブレーション
容器内を水で満たし、その時の水の重さと水の温度から容積を求めます。
この値が正確な容積となります。 - 初圧力の決定
初圧力とは、空気室で圧縮した空気を開放した際に、指針の動きが正しい位置を指すかの確認です。つまり、容器内をピッタリと満たした状態(満水)のとき、針が0%を示すかの確認です。 - 目盛りのキャリブレーション
初圧力が決定したら、次に圧力計の目盛りの確認をします。
容器を満水状態にし、空気量でおおよそ2%程度ずつ、水を抜いていきます。その時の目盛りの読み値と、計算から求まる空気量の誤差を確認して、針が正しい値を指しているかを確認します。
ここまでが、空気量の圧力による試験方法で大事な部分で、空気量の測定自体は、JISに規定されている通りの手順で行えば正しい測定が出来ます。
手順通りに測定した後、圧力計の読み値と骨材修正係数から空気量を求めます。
空気量=圧力計の読み値-骨材修正係数(G)
骨材修正係数が0.1%未満の場合は、 計算を省略してよいとされています。一般的に空気量試験と言えば、空気室圧力方法を指すことがほとんどです。
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