コンクリートの試験練りとは。目的は?省略できないの?

試験

建築基準法第37条では、建築物の重要部分に使用する建築材料(指定建築材料)について、JIS(日本産業規格)又はJAS(日本農林規格)に適合するもの、もしくは品質に関する技術的基準に適合するものであることを、国土交通大臣から認定を受けたもの(大臣認定品)と定められています。

試験練り(試し練り)とは、使用するコンクリートが指定建築材料の規定に適合しているかどうかを判断するために、行うものです。

しかしながら、工事の度に必ず試験練りを行っているわけではありません。試し練りを省略することが出来る場合や、種類の提出のみとなる場合もあります。

このページでは、コンクリートの試験練りの概要や目的・省略についての考え方などについて説明します。

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試験練りの目的

試験練りの目的は、これから使用するコンクリートが、要求性能を満たしているかを確認するために行うとされています。

具体的には、スランプ・空気量・強度などの性能が仕様通りとなっているか。更には、コンクリートの状態(粘性やワーカビリティ、経時変化)や、乾燥収縮率試験、ヤング係数(静弾性係数)測定、膨張率試験用など、JISに規定された品質以外の項目を確認するためにも行われます。

また、コンクリートの品質を直接確認するだけでなく、工場の設備や品質管理の状況、製造能力などについてヒアリングを行い、安定して製造・供給出来るかを確認したりもします。

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試験練りの方法

試験練りには、二通りの方法があります

  1. 室内練り
  2. 実機練り

1.室内用の小型ミキサで少量のコンクリートを練る方法
一般的な配合で通常の管理項目を確認する場合は、配合自体の確認を目的としているため、室内練りで行うことが多いです。
配合の確認であるので、基準となる状態の材料を使い、配合通りの使用量で、コンクリートを練ります。

2.バッチングプラントで、実出荷と同様の方法でコンクリートを練る方法
高い要求性能を必要とされる場合や、工場での製造実績が乏しい特殊コンクリートの場合、配合の確認だけでなく製造技術の確認も必要となるため、製造条件を同様にして行います。
そのため、材料のバラつきや計量誤差なども確認した上で、コンクリートの品質を確認します。

試験練りの省略ついて

試験練りの省略については条件があります。そのためには、使用するコンクリートが次の3つのどれに当てはまるを確認します。

  1. JISマーク表示のあるコンクリート
  2. JISマーク表示はないがJISに適合するコンクリート
  3. JISマーク表示がなくJISに適合していないコンクリート

1~3について、違いを説明すると、

  • 1(JISマーク表示製品)…JISに適合していて、生コン工場がJISマークを表示することを認められている製品。
  • 2(JIS適合品)…JISに適合しているが、生コン工場が製品にJISマークを表示する事を認められていない製品。
  • 3(JIS規格外品)…JISに規定されていない仕様の製品(大臣認定品含む)
 JIS適合JISマーク
1
2×
3××

試験練りの省略は、1である場合は可能です。2である場合は工場の実績や配合から要求性能を満たせるか確認した上で判断します。3である場合は規定のない製品であるため、試験によって性能を確認する必要があるため、省略は出来ません。

2と3の違いが分かりづらいので例題を使って補足します。

例1.

膨張材という材料があります。膨張材はJISに規定されている材料です。
ですから、膨張材を使用したコンクリート自体はJISに適合します。
ですが生コン工場では、膨張材を標準的に使用する材料として登録していないとします。

その場合、膨張材を使用したコンクリートについては、JISマークを表示することが出来ません。
JISに適合する事と、JISマークを表示する事はイコールではないという事です。

例2.

防水材という材料があります。防水材はJISに規定されていない材料です。
ですから、防水材を使用したコンクリート自体JISに適合していません。


もちろん、JISマークを表示できる生コン工場もありません。
JISに適合しなければ、JISマークを表示することは不可能です。

例1は、製造する工場によっては、1に成りうる。例2は、JISが改定されない限り3のまま。

まとめ

試験練りとは、指定建築材料の規定に適合しているかどうかを判断するために行うもの。
二通りのやり方があり、何を確認するかでやり方も違ってくることもある。
試験練りの省略は、JISマーク表示製品であれば可能で、JIS適合品であれば、実績や書類によって品質を確認できれば可能。
JIS規格外品の場合、試験によって品質を確認する必要があるため不可能。

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